ニュース
ニシゴリラ「ナナ」の状況と今夏のニシゴリラの暑熱対応について
 └─ 2018/08/10

 東園「ゴリラ・トラの住む森」で飼育しているニシゴリラ「ナナ」(メス、推定36歳)については、2018年6月25日に麻酔をかけ精密検査をおこなったところ、子宮をはじめとする多臓器に腫瘍を患っていることがわかりました。

  既にお知らせしたとおり、現在は鎮痛などの緩和ケアを中心に、ナナの生活の質(QOL)の維持を念頭に飼育管理しております。

 その後も多くの皆様からナナへのご心配や励ましのお言葉をいただきましたこと、ありがたく思います。

 今回、ナナの現在の状況について皆様にお伝えするとともに、ご心配をいただいているゴリラのすむ森の暑熱対応についてお知らせいたします。

ニシゴリラ「ナナ」
「ハオコ」(オス)と第1放飼場のゴリラたち

1.ナナの状況について

これまでの経過

 2012年にゴリラの飼育管理方法を変更した際、食べ物についてもより健康状態を良好に保つべく、見直しをおこないました。このときナナは肥満であったため、段階的な体重の減少をめざして飼育管理をおこない、その後は良好な健康状態を維持してきました。
 2017年の夏過ぎから食欲の低下が見られ、痩せてきていることが特に目立ったため、ナナを個別に管理して嗜好性の高いえさを与えたり、ゆっくり食事が取れるよう個別に時間を確保したりすることで、体力の回復を図ってきたところです。
 しかし、体重減少に加え不正出血が見られたこともあり、麻酔のリスクやナナの体への負担を考慮のうえ、2017年度末に導入した新たな検査機器を用いて精密検査を実施したところ、腫瘍が見つかり多臓器に転移していることもわかりました。
 既にお伝えしたとおり、現在の疾患の進行状況から根本的な治療が困難と判断し、ナナの生活の質(QOL)を良好に維持することを第一として飼育管理をおこなっているところです。

ナナの状況

 2018年7月19日から、ナナを「ハオコ」(オス)を中心とした第1放飼場の群れから離し、非公開の屋外ケージがある個室に移動させて、果物や穀類など好きなものをゆっくり食べさせるようにしました。
 その後ナナが部屋に馴れ、個室・屋外ケージ・第2放飼場で安心して過ごせるようになったため、ナナが屋外運動場に出たいというようすが見られれば、開園時間の午前中に第2放飼場に出すこととしました。
 最近は基本的にナナの自由にさせており、元気に屋外を歩き回る日もあれば、屋内外をつなぐ通路の中で休みながら外を眺めている日もあります。
 現在、ナナの生活の質(QOL)を維持するために必要な鎮痛ケアなどの治療をおこなっていますが、症状の変化に合わせ治療方法や生活の状況が変わることもあります。
 今後とも、可能な限りナナの状況についてお知らせいたしますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

2.ゴリラの暑熱対応について

 今夏は平年に比べて厳しい暑さが続いており、ゴリラの群れが日中に屋外放飼場で過ごしていることについて、皆様からご心配をいただいております。

 現在、飼育担当者が屋外放飼場の気温を毎日確認し、暑さが厳しく動物が室内に残りたがったり、一旦外に出ても戻りたいようなようすが見られたりする場合には、屋内への出入口扉を開放したままにして、ゴリラが室内と屋外を自由に行き来できるようにしています。

 また、ゴリラたちも日陰に入ったり、水を飲んだり、水浴びをしたりするなど、それぞれ暑さをしのぐ工夫をしています。

 ゴリラの群れについては、屋外放飼場でのようすだけでなく、屋内飼育施設の中での運動量やゴリラ同士の関係性などを考慮して総合的に飼育管理をおこなっています。特に、限られた空間の中で、ゴリラたちが過ごす場所の選択肢をできるだけ多く与えることが重要と考え、日々の状況などを見ながら、展示と飼育管理方法を決めているところです。

 今後もゴリラの健康を第一に飼育管理に努めてまいりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

(2018年08月10日)


ページトップへ