ニュース
鳥班レポート2017──今年繁殖した鳥たち[1]カワセミ
 └─2017/09/22

 上野動物園の東園で飼育している非公開のライチョウをはじめ、「日本の鳥I」「日本の鳥II」「バードハウス」を担当している班は、職員の中で「鳥班」と呼ばれています。

 2017年、鳥班ではさまざまな種で繁殖が見られました。中には初めての繁殖や久しぶりの繁殖をした種もあります。今回から鳥班の担当者がリレー形式でご紹介します。

 トップバッターはバードハウス2階のカワセミです。美しい姿から「清流の宝石」とも呼ばれ、バードウォッチャーからも人気があります。

 2016年7月からオスとメスを同居させていましたが、2017年3月にオスからメスへ魚をプレゼントする「求愛給餌」が観察されるようになりました。そして3月末から、メスが巣穴にこもるようになりました。

 カワセミは土壁に直径5センチ、深さ70センチ程度の巣穴を掘り、そこに4~7個程度の卵を産んで子育てをします。バードハウスの展示室では樹脂で作った備え付けの巣穴があり、狙い通りその巣穴を使ってくれました。


右がひな

 1度目の産卵でかえったひなは残念ながら初期の段階で死亡し、1羽の死骸が巣の外に捨てられてしまいました。しかし7月5日に2度目の産卵があり、オスとメスが交代して卵を温め、7月24日に巣穴からひなの声を確認しました。


 親鳥はモツゴの稚魚などをえさとして頻繁に巣穴に運び、8月21日に1羽のひなが巣立ちました。野生では孵化から約23日間で巣立つと言われており、予想よりも1週間遅い巣立ちです。

 長い期間巣穴でえさをもらっていたひなは親鳥よりもやや大きい体格で、カワセミの特徴である腹部のオレンジ色は茶色くくすんだ色をしています。ひなが巣立った後の巣穴を確認すると、孵化しなかった卵が5卵残されていました。巣立ったひなは1週間ほど親から魚をもらっていましたが、現在は自力で魚を取っているようです。

 上野動物園では5年前にもカワセミの繁殖がありましたが、巣立ち後おぼれたり頭をぶつけたりする事故があり、成育したひなはいませんでした。

 今回はその教訓を活かし、プールの水を抜いてガラスに目隠しを貼りました。このひなが無事に育てば14年ぶりのひなの成育です。期待に応えてきっと立派に育ってくれることでしょう。

 次週は上野動物園で初繁殖となる、白×黒のあの鳥です。お楽しみに!

〔上野動物園東園飼育展示係 小川美紀〕

(2017年09月22日



ページトップへ