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飼育下で生まれたライチョウが産卵。卵を長野県大町山岳博物館に移動
 └─2017/06/14

 日本産のライチョウは、絶滅危惧種であり国の天然記念物です。上野動物園ではその飼育繁殖に取り組んでいます。一昨年野生から採取し、上野動物園に運んだ4個の卵は孵化に成功。飼育下で育った個体による産卵も見られました(お知らせ)。このたび、長野県の大町山岳博物館に移動します。

2016年6月、上野動物園に運ばれた卵4個
孵卵器に収容

 2016年6月3日と4日、長野県と岐阜県の県境にある乗鞍岳で野生のライチョウの卵を4個採取し、上野動物園に運びました(お知らせ)。これら4個の卵は2016年6月26日、すべて無事に孵化し(お知らせ)、順調に育っています(お知らせ)。

2016年6月26日に孵化したライチョウのひな
No.1
No.2
No.3
No.4

繁殖ペアのオス
繁殖ペアのメス
2017年5月23日に確認された卵

 上野動物園で2016年6月26日に生まれたライチョウはオス3羽、メス1羽。そのうちオス「No.2」とメス「No.3」の2羽を、見合いを経て、2017年5月19日から同居させたところ、当日交尾行動が見られ、5月23日に1個の産卵が確認されました。

 飼育繁殖へのこの取り組みは、環境省が進めるライチョウ生息域外保全事業の一環としておこなわれています。同様の取り組みは、富山市ファミリーパーク、大町山岳博物館でも進められています。

◎飼育繁殖状況(2017年6月13日現在)
上野動物園富山市ファミリーパーク大町山岳博物館
飼育数オス3羽、メス1羽オス6羽、メス1羽オス2羽、メス1羽
繁殖ペアオスNo.2
(2016年6月26日孵化)
メスNo.3
(2016年6月26日孵化)
オスNo.8
(2016年6月29日孵化)
メスNo.6
(2016年6月28日孵化)
オスNo.11
(2016年6月30日孵化)
メスNo.10
(2016年7月1日孵化)
同居開始日2017年5月19日2016年4月26日2016年5月12日
産卵数
(有:有精卵、
 無:無精卵、
 -:未確認)
①5月23日 1卵(有)
②5月25日 1卵(有)
③5月26日 1卵(無)
④5月28日 1卵(有)
⑤5月30日 1卵(-)
⑥6月 1日 1卵(-)
⑦6月 2日 1卵(-)
⑧6月 4日 1卵(-)
⑨6月 5日 1卵(-)
⑩6月 7日 1卵(-)
⑪6月 9日 1卵(-)
⑫6月10日 1卵(-)
⑬6月12日 1卵(-)
①5月20日 1卵(無)
②5月22日 1卵(有)
③5月24日 1卵(有)
④5月25日 1卵(無)
⑤5月27日 1卵(-)
⑥5月30日 1卵(軟卵)
⑦5月30日 1卵(-)
⑧6月 1日 1卵(-)
⑨6月 3日 1卵(-)
⑩6月 5日 1卵(-)
⑪6月 6日 1卵(破卵)
⑫6月 7日 1卵(-)
⑬6月 8日 1卵(-)
⑭6月10日 1卵(-)
⑮6月12日 1卵(-)
⑯6月13日 1卵(-)
①6月 3日 1卵(-)
②6月 5日 1卵(-)
③6月 7日 1卵(-)
④6月 9日 1卵(-)
⑤6月11日 1卵(-)
⑥6月13日 1卵(-)
孵卵器に移した数
(括弧内は有精卵数)
5月29日 4卵(3)
6月5日 4卵(-)
6月12日 4卵(-)
5月26日 4卵(2)
6月5日 5卵(-)
6月13日 5卵(-)
6月10日 4卵(-)
受精卵の移動6月15日に卵①②④を
大町山岳博物館に移動

 表に示したとおり、2017年5月20日、富山市ファミリーパークで産卵が見られました。野生から採取した日本産ライチョウの卵を孵化させ、育った個体が飼育下で産卵したのは21年ぶりのことです。遺伝的多様性の確保など、適切な飼育繁殖計画を進めるために、このたび上野動物園の受精卵を大町山岳博物館に移動します。

◎今後の予定
 2017年6月22日頃、富山市ファミリーパークの受精卵を上野動物園に移動。7月上旬には大町山岳博物館の受精卵を富山市ファミリーパークに移動します。また、状況に応じて、飼育施設以外の施設に受精卵を移動する可能性もあります。

(2017年06月14日)


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