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アイアイ来園15周年記念講演会の開催報告
 └─2016/07/05

 上野動物園では、2016年7月3日(日)にマダガスカルを象徴する動物のひとつであるアイアイの来園15周年を記念して、講演会「マダガスカル──希少な生き物たちの宝庫」を開催しました。

 希少な野生動物の宝庫であるマダガスカルの自然について、国内外の専門家から最新の情報に基づく講演がおこなわれ、大変充実したものとなりました。

 
RAKOTOARIJAONA A.Mamy氏(左)と島泰三氏(右)

 はじめに当園の渡部副園長が、マダガスカルの概要と野生生物保全の取組みとして、各国の動物園や研究機関が参加している保護・研究団体「マダガスカル・ファウナ・フローラ・グループ(MFG)」の活動や東京動物園協会の取組について紹介しました。

 マダガスカル国立公園(MNP)管理部長のRAKOTOARIJAONA A.Mamy氏からは、マダガスカルの自然の状況、MNPの仕組みや活動、そして今後の課題についてお話がありました。
 多くの美しい写真やビデオも見せていただき、マダガスカルの自然の素晴らしさに改めて感服いたしました。

 
マダガスカル・バオバブの木(左)とコクレルシファカ(右)
(写真提供:RAKOTOARIJAONA A.Mamy氏)

 日本アイアイファンド代表の島泰三氏からは、マダガスカルの野生動植物についてお話がありました。講演会直前の6月にもマダガスカルへ渡り調査をおこない、めったに見られないペリエシファカを観察されたことなど、最新の状況を聞かせていただくことができました。
 マダガスカルははるか昔に大陸と切り離されたため、非常に独特な動植物が多く生息しており、そのユニークさや美しさに目を奪われました。

 
ペリエシファカ(左)とフォッサ(右)
(写真提供:島泰三氏)

 最後に、上野動物園でアイアイの飼育を担当している中村職員から、当園でのマダガスカル産動物の飼育・保全における取組みについて発表がありました。
 当園では1999年からマダガスカル国立チンバザザ動物園との共同研究に取り組み、2001年にアイアイが初めて来園しました。また、2013年にはアイアイ国際会議(Aye-aye International Master Planning Meeting)にも参加して国際間での連携を強め、当園ではこれまでに8回の繁殖に成功しています。
 2015年12月13日に誕生したのはオスの赤ちゃんで名前は「マフィー(Mafy)」!マダガスカル語で「強い、タフな」という意味を持ちます。その名のとおり、元気にすくすくと成長中です。


2015年12月に誕生したアイアイの赤ちゃん、マフィー(Mafy)


 この講演会では、私たちが知らないマダガスカルの自然と動植物について、貴重で重要な情報を得ることができました。一方、マダガスカルの森林破壊は年々進んでおり、それらを取り巻く現状は依然として厳しいものがあります。
 しかし、この講演会が、この地球の宝とも言える貴重な自然を守るための第一歩になるかもしれません、マダガスカル現地と各国の動物園、素晴らしい動物たちに興味をお持ちのみなさまと協力して、保全に向けた努力を続けていきたいと思っています。
 今後とも、ご理解とご支援を、よろしくお願いいたします。


〔上野動物園教育普及係 岡元友実子〕

(2016年07月05日)


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