上野動物園では、現在8頭のニシゴリラを2つの放飼場で飼育しています。第1放飼場は群れ飼育をおこない、第2放飼場には健康管理のために単独飼育をしている個体がいます。2013年、群れのメンバーが見守る中、「モモコ」がメスの「モモカ」を出産しました。モモカは今年（2016年）4月24日で3歳を迎え、日々すくすく成長しています。

・「ニシローランドゴリラのモモコ、無事出産！」（2013年4月25日）


モモカ「ピーマン、ゲット！」
　モモカは今では父親の「ハオコ」とよく遊んでいますが、当初は母親のモモコや姉の「コモモ」をはじめ、群れのメスと過ごすことがほとんどでした。ハオコはモモカの後をそっとついて歩いたり、モモカの気を引こうと麻袋を腕に巻いて見せたり……わが子をかまいたいのに怖がられて逃げられてしまい、シュンとしているハオコが、なんとも言えない寂しげな姿に見えたのが印象的でした。

・「ゴリラ『ハオコ』グループの近況、モモカの成長」（2014年9月19日）


左：モモカ、中央：トト、右：ハオコ
　姉コモモがハオコと追いかけっこやレスリングをしていたのがきっかけなのか、モモカも除々にハオコと遊ぶことが増えていきました。また、同じ頃から母モモコや群れのメスから離れて行動することも増え、モモカは麻袋をかぶったり、乾草の上を猛スピードで転がってみたり、ひとり遊びの範囲も広がっていきました。おとなたちが食べている間、体が小さいモモカはすぐにおなかが一杯になってしまいます。そんなとき、ひとり遊びが見られることもあります。


消防ホースゆらゆら。上：モモコ、下：モモカ、擬木裏：ハオコ
　ときには姉コモモにえさを取られ、モモカがむくれていることもありますが、母親の妊娠後、コモモとモモカの姉妹がいっしょにいる時間が増えたように感じます。コモモが妹モモカを背負って移動したり、モモカが不安気に「ギャー」と叫ぶとコモモがすぐに駆け寄ってきて、落ち着かせようとすることもあります。

・「ニシゴリラの『モモコ』妊娠！」（2016年4月28日）


恨めしそうな（？）モモカ。左：コモモ、右：モモカ
　こどもの成長は早く、この1年間だけでもコモモやモモカの成長を実感しています。毎日にぎやかなハオコグループ、これからも暖かく見守ってください。

〔上野動物園東園飼育展示係　田村由美〕

（2016年06月03日）