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八王子市で保護されたオオサンショウウオを展示
 └─2015/03/29

 昨年(2014年)11月28日、八王子市高月町の水田の用水路で、オオサンショウウオが保護されました。オオサンショウウオは日本の特別天然記念物です。本来の分布は岐阜県以西なので、人が持ち込んだことは明らかです。

 このオオサンショウウオの検疫(約3か月間、病原菌等をもっていないか調べます)が終了し、飼育や展示に関する許可等がそろったので、3月24日から上野動物園両生爬虫類館で展示を始めました。


八王子市で保護されたオオサンショウウオ。上野動物園の両生爬虫類館で展示を開始

 この個体が上野動物園に到着したのは昨年の12月11日でした。近くに住む住民の方が発見し、保護していた八王子市保健所の方が「何も食べてくれないので、やせてきました」と心配そうに話をしていました。

 発見された個体の雌雄は不明で、全長86センチ、体重 4.6キロ(12月11日時点)と少しやせ気味でした。外見上は若く、日本産の特徴をそなえた、とてもおとなしそうな個体でした。

 近年、日本産オオサンショウウオは中国産との交雑が問題になっています。たとえば、生息地域の京都市内鴨川や桂川水系の調査(京都市、2011年度)では、90%以上の個体に交雑が見つかっています。さっそく DNA解析による亜種判定を多摩動物公園野生生物保全センターに依頼したところ。結果は外見の通り日本産でした。

 2月までは遠慮がちにドジョウを食べていましたが、3月からコイを1週間に1回与えています。えさのコイを近づけると静かに狙いをつけ、コイの頭部から勢いよく吸い込むように食べます。その迫力に、2千万年前以上から生き抜いて来た力強さを再確認しました。

 両生爬虫類館では4頭目の日本産オオサンショウウオ展示です。世界最大の両生類であり「生きた化石」といわれる勇姿をぜひ見に来てください。

〔上野動物園は虫類館飼育展示係〕

(2015年03月29日)


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