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ジャコウネズミの展示、再び
 └─2015/03/20

 上野動物園西園の小獣館でジャコウネズミの展示を始めました。以前も小獣館で展示していました。今回、約10年ぶりの登場です。


 ジャコウネズミは見た目はネズミに似ていますが、齧歯目ではなく、モグラなど同じトガリネズミ目の動物です。目の先からぷっくりと膨らみ、鼻先に向かって尖っているのでトガリネズミというのでしょう。胴の両脇には独特のにおいを発する麝香腺(じゃこうせん)という分泌腺があり、名前の由来になっています。


 ジャコウネズミはアジアの熱帯や亜熱帯に分布し、南西諸島や長崎でも生息が確認されています。おもに昆虫類を食べ、雑食傾向が強いといわれています。

 また、実験動物としても飼育されている動物です。ジャコウネズミを「スンクス」と呼ぶことがありますが、同じく実験動物として利用される齧歯目のネズミと区別するために、学名 Suncus murinus の属名を使っているのです。

 今回展示したジャコウネズミは、岡山理科大学から研究個体を提供していただきました。岡山から来た当初は、巣箱として空き缶を使用していました。しかし、動物のようすがよく見えるように同じ太さの透明パイプを入れてみたところ、案外気に入ったらしく、透明パイプの中でも休むようになりました。どうやら皮膚に何かが触れていることが安心につながるようで、まわりは気にしないようです。たしかにかなり小さい目をしています。

 ジャコウネズミの特徴として「キャラバン」と呼ばれる行動があります。生まれた子が目が開いてから離乳するまでの期間、驚いたときなど、たくさんの子が他の子のお尻のあたりや、親の尾の基部をくわえて次々とつながり、行列を成して移動する行動です。このキャラバンがお見せできるよう、まず繁殖をめざします。

〔上野動物園西園飼育展示係 森久保秀〕


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