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カンムリサケビドリが東園のツル舎にやって来ました
 └─2015/03/13

 上野動物園の西園の水禽舎にいたカンムリサケビドリが、西園の整備にともない、東園のツル舎に引っ越してきました。

 ピョンと立った頭の羽根、白くてふわふわした首の羽毛、あざやかなピンクの脚……カンムリサケビドリの目立つ姿はさっそく注目の的になり、今ではヘビクイワシとならぶツル舎の人気者です。


カンムリサケビドリ

 ツル舎にいるのだからツルのなかまかな?と思われがちですが、じつはカモのなかまです。ツル舎は基本的にツルのなかまを展示する施設ですが、ツルは繁殖期になるとちがう種類のツルどうしであってもお互いに強く意識し、ケージ越しに突つきあってしまうので、直接隣り合わないよう、ツル類以外の鳥もくらしているのです。

 でも、カンムリサケビドリは脚も首も長く、カモのなかまにはとても思えません。くちばしもオウムやワシのように曲がり、先端はとがっています。いったい何を食べるのでしょう? 西園で与えていたえさの種類は担当者から聞いてあったのですが、東園に来てしばらく経っても、なかなかえさをしっかり食べるようすが見られませんでした。

 いつ新しい環境に慣れるのかなと思っているうちに1か月が過ぎましたが、あまり採食しているように見えません。心配になり、捕まえて健康状態を調べたら胸は案外ふっくらしていて一安心しました(鳥のなかまは、胸の筋肉をさわって栄養状態を調べます)。

 ほとんど減っていないように見えたえさですが、どうやら大好きなリンゴはせっせと食べていたようです。リンゴだけでは栄養が偏るので、他の果物を与えて好きなものを探したところ、バナナとミカンと九官鳥のえさを好むことが分かってきました。さらに、いろいろな食べ物を口にした結果、以前西園で食べていた小松菜、煮イモ、トキ用の餌もよく食べるようになってきました。今では、えさを待ち構え、餌皿を置くやいなや食べ始める姿も見られるようになりました。

 採食する姿は午前中によく見られます。食べていない時は、植え込みの中に座って日向ぼっこをしていることもあります。ツル舎の新しいなかま、カンムリサケビドリにぜひ会いにきてください。

 なおカンムリサケビドリとともに、ホオアカトキも東園のツル舎にやって来ました。カンムリサケビドリの隣のケージでシュモクドリといっしょにくらしています。ホオアカトキが池に入ってアジを採食するようすは、昼から夕方にかけて見られます。


ホオアカトキ

〔上野動物園東園飼育展示係 佐藤恵〕

(2015年03月13日)


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