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ガラパゴスゾウガメ「カメ吉」の食生活改善大作戦
 └─2014/09/26

 2014年7月14日に屋外放飼場へ移動した上野動物園両生爬虫類館のガラパゴスゾウガメ「タロウ」と「カメ吉」は、夜間の気温の低下に伴い9月8日に屋内に戻りました。現在タロウは館内の第一展示場、カメ吉はバックヤードにいます。それぞれ慣れ親しんだ場所へ戻り、のびのびとしている姿を見て担当者もホッと一息としたいところです。

 しかし、カメ吉は偏食が激しく、さらに夏の暑い時期に食欲低下が顕著に現れてしまったため、現在は食生活の改善に奮闘しています。

 野生のガラパゴスゾウガメはほぼ完全な草食で、草やサボテン、果実などを食べています。

 動物園ではイネ科の牧草や小松菜、キャベツとともに果物や根菜も副食として与えているのですが、カメ吉の場合は1年中偏食が見られ、草や野菜はほとんど食べず、果物だけを食べるという日も珍しくありません。暑い時期には果物さえ食べなくなることもときどきありました。

 タロウも夏に食欲が減退する傾向はありますが、涼しくなればまた通常に戻り、与えられた餌は選り好みをせずにほぼ食べてくれます。

 カメ吉がこのまま本来食べるべき草や野菜をわずかしか食べず、甘い果物ばかり食べ続けては内臓に負担がかかるなど、体にいいわけがありません。

 そこで、カメ吉がしっかり食べてくれるようさまざまな草や野菜を試行的に与え始めました。これまでに試したものは、モロヘイヤ、セロリ、アロエ、ピーマン、オクラ、ウチワサボテン、パプリカ、紫キャベツなど。この中には、まったく反応がなくそのまま放置されているものもありますが、逆に「よしっ」と担当者が思わずガッツポーズしてしまいそうになったものもあり、その代表格は紫キャベツです。いつも与えているキャベツとは色が違う紫キャベツならばどうだろう?と与えると、むさぼるように食べ始めたのです。色で判別しているのか、それとも匂いを嗅ぎわけているのか、現在はっきりしたことはわかりませんが、今後のメニューを考える上で大きなヒントになる出来事でした。

 最終的には、四季を通してカメ吉に合った野菜や青草を与え、糖分の高い果物には恒常的に頼らなくてもよいメニューにすることを目標にしています。しかし、急激な変化を与えることによってカメ吉の体調に悪い影響が出ないよう慎重にメニュー内容を考えながら少しずつ試しているので、目標達成までには時間がかかりそうです。

 いつまでもカメ吉が健康に過ごせるよう、試行錯誤をしながら担当者も精進していきたいと思います。

写真:紫キャベツにかぶりつく「カメ吉」

〔上野動物園両生は虫類飼育展示係 川崎繭〕

(2014年09月26日)



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