ニュース
おかえり、ホッキョクグマ「ユキオ」
 └─2014/04/25

 ホッキョクグマの「ユキオ」(オス)がブリーディングローン(繁殖を目的とした動物の貸借契約)で移動していた釧路市動物園から上野動物園に帰ってくることは以前の記事でお知らせしましたが、2014年4月7日、無事に上野動物園に到着しましたので、移動のようすとユキオの近況についてお話します。

「ホッキョクグマの「ユキオ」が帰ってきます」(2014年03月27日)

 今回、上野動物園から飼育担当者と獣医師の2名が釧路市動物園でのユキオの搬出作業に立会いました。搬出作業は、麻酔で眠らせたユキオを輸送箱に入れ、その箱をクレーンで吊り上げトラックに積むという手順でおこなわれました。4月6日午後3時、搬出作業は釧路市動物園スタッフの方々のもとでスムーズに進行し、午後5時には無事にトラックに積まれ、ユキオも麻酔から覚醒しました。4月7日午前3時半にトラックは釧路市動物園を出発し、千歳空港からは飛行機で羽田空港まで、そして再度トラックに載せ、午後4時ころに上野動物園に到着しました。

 ユキオは現在26歳で、国内最高齢のオスのホッキョクグマです。今回の移動では、高齢のため体力的なことや急な環境の変化への適応が難しいのではないかという心配がありました。

 しかし、輸送箱の扉を開けるとユキオはすぐに部屋へ移動し、長旅の疲れからか水をよく飲み、用意していた餌もすぐに食べ始めました。検疫のためそのまま1週間室内で過ごしていましたが、その間の健康状態も良好で、別室にいるメスの「デア」のことを意識し、デアの姿を見ようと立ち上がって室内の小窓を覗き込む行動も頻繁に見られました。

 4月16日、ユキオは約2年ぶりに上野動物園の土のグラウンドがある小放飼場に出ました。室内と小放飼場の間は階段で繋がっているため、高齢のユキオがしっかり上り下りできるか不安でしたが、2年前のことをちゃんと覚えていたのか何も問題なく階段を使って小放飼場まで出ることができました。

 その日ユキオは小さなプールで水浴びをしたり、土の上でゴロゴロと寝転んだりしたため、部屋に帰ってきたときにはパッと見るとヒグマと見間違えてしまうほど体が茶色になっていました。国内最高齢ですが、まだまだやんちゃな一面も見せてくれます。

 今後もっと慣れてくればユキオとデアを日替わりで大小それぞれの放飼場に出せるようになると思います。

 これからホッキョクグマにとって暑い夏がやってきます。釧路帰りのユキオにはとくに厳しい季節になるかと思いますが、ここまで予想以上に元気な姿を見せてくれているユキオであれば、きっと乗り切ってくれるだろうと思っています。以前のユキオを知っている方も、これから初めてという方も、2年ぶりに帰ってきたユキオにぜひ会いに来てください。

写真上:茶色になって遊ぶ最近の「ユキオ」
写真下:釧路市動物園での搬出作業のようす

〔上野動物園東園飼育展示係 三塚修平〕

(2014年04月25日)



ページトップへ