ニュース
マレーグマ誕生──9/10
 「首のあたりのタルタルした感じがたまりません」──というメールを読者の方からいだいたこともあるマレーグマ。「ひたい」にも独特の肉じわが。

 2004年7月28日、そのマレーグマが誕生しました。上野動物園でのマレーグマの繁殖は、1980年8月16日以来、24年ぶりです。
 ちなみに、マレーグマの繁殖に国内で初めて成功したのは多摩動物公園。1966年10月2日のことでした。上野動物園での初繁殖成功は、1977年8月14日です。

 今回出産したのは「キョウコ」(1998年6月22日に中国の北京から来園、推定9歳)、父親は「アズマ」(1998年6月22日、名古屋市東山動物園から来園、12歳)。
 7月28日、キョウコを放飼場に出したとき、口に何かをくわえているので、ん?とよく見ると、こ、小熊がっ!──こうして担当者が出産を確認したのでした。8月25日には、赤ちゃんの目が開いているのを確認。キョウコと赤ちゃんは、現在寝室にこもっています。母親もおちついたようすで子育てに専念中。放飼場に出てくるのは、2~3か月先の予定。しばらくお待ちください。

 現在、上野動物園のマレーグマは、オスがアズマ1頭、メスがキョウコとサクラ(2002年6月27日に多摩動物公園から来園)の2頭、そして赤ちゃん1頭です(赤ちゃんの性別はまだわかりません)。

 マレーグマは、ミャンマーからマレー半島、スマトラ島、ボルネオ島の森にすむ小型のクマ。クマのなかまの中で、いちばん小さい種類です。果実や昆虫などを食べる雑食性ですが、動物園では放飼場に忍びこんできたネコをつかまえてしまったこともあったとか。

 和名の「マレーグマ」はもちろん生息地にちなんでいますが、英語では、sun bear(太陽熊)、honey bear(ハチミツ熊)などと呼ばれています。胸にある白っぽい斑紋が昇る太陽に似ているからとの説あり。ただし、斑紋のかたちは個体によってまちまちで、ときには斑紋がないこともあるそうです。
 「ハチミツ」熊の方は、ハチミツを食べるから。するどい爪でハチの巣をこわしてハチミツを食べたり、シロアリの巣をこわしてシロアリを食べたりします。動物園にいらしたら、爪のかたちに注目してください。
 マライ語では「高いところいるのが好きな者」という意味のことばで呼ばれています。つまり、マレーグマは木登りがじょうず。ここでも爪が活躍します。また、おそらく木登りのためでしょう、足の裏に毛がありません。

 気になる「首のあたりのタルタルした肉」は、ここを捕食者(トラやウンピョウ)につかまれたとき、その「皮膚の余裕」を利用して、グルッと体をまわして相手に噛みつくためだといわれています。ビローンと伸びるんでしょうか。

・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」のマレーグマはここ

・東京ズーネットBBのマレーグマの動画(1分20秒)はここです

※写真は赤ちゃんと母親のキョウコ

(2004年9月10日)



ページトップへ