上野動物園のユーラシアカワウソ展示場では、アクリル水槽でカワウソの餌やりをおこなってきましたが、カワウソが老齢のため残念ながら中止しました。そこで今回、このアクリル水槽をカワウソ用ではなく、ニホンアナグマとハクビシン向けに改装し、2010年12月28日から3種類の動物の混合展示をはじめました。
新展示のコンセプトは、水中のカワウソ、地上と地中のアナグマ、樹上のハクビシンというように、それぞれ異なった生活場所を持つ3種がお互いに住み分けて共存する姿をみなさんにごらんいただくことです。
まず、同居させるにあたり、お互いが落ち着いて暮らせる環境を作ることからはじめました。カワウソにはガラス張りの巣箱のほかに水面近くに擬木の巣穴を設置し、そこにハクビシンが入らないよう透明板を使ってくふうしました。ハクビシンには丸太やロープで樹上を移動できるようにし、木の上に寝場所の板を付けました。そしてアナグマには、野生で地中を掘り進んで巣を作る行動をイメージして、今までのアクリル水槽の中に寝床を作りました。もし、アナグマやハクビシンがこのアクリル水槽を使用してくれたら、柵を越えてみなさんの方に歩いて来る姿をごらんいただけるかと思います。
すべての準備を終え、12月27日に3種を同居させたところ、とくにトラブルもなく、一応住み分けがされたのはよかったのですが、2011年1月6日現在、アクリル水槽には、まだどの動物も入った形跡がありません。今後に期待しています。水中、地上、樹上に住み分けている動物たちを、ぜひ見に来てください。
写真上:巣箱の中のカワウソ
写真中:地上に置いた樹洞に入るアナグマ
写真下:地中の巣をイメージして改装したアクリル水槽
〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕
(2011年01月07日)
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