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アジアゾウ「アーシャー」の近況、その2
 └─2010/01/15

 こちらのニュースで、2009年10月5日に上野動物園から豊橋総合動植物公園に移動したアジアゾウ「アーシャー」(メス)の近況についてご報告しました。豊橋総合動植物園からその後のようすを伝えるニュースが届きましたので、お知らせします。

◎ダーナとアーシャーの同居と交尾
 豊橋総合動植物公園ゾウ担当者 梅田秀夫

 2009年11月16日、ダーナとアーシャーを運動場で初めていっしょにしました。繁殖のためのペアリングです。しかし、行動などから判断して、まだ同居させるには早そうだったので、翌日から柵越しのお見合いに戻し、ようすを見ることにしました。

 12月に入ると、ダーナが運動場の柵越しに頭を出し、アーシャーを呼ぶようなしぐさが多く見られるようになりました。アーシャーもダーナに対してお尻を向けたり、排尿したりすることが増え、ダーナがアーシャーの尿を嗅ぐことも増えました。

 血液検査によると、つぎのアーシャーの発情は12月中旬です。そこで、12月3日から運動場での同居を開始したところ、ダーナによるマウント行動(交尾のためにオスがメスに乗るような体勢をとること)がときどき見られましたが、アーシャーは受け入れようとしません。室内に入れる時間になると、ダーナはアーシャーのことを気にしないかのように、部屋に入って行ってしまいます。

 ところが12月20日、ダーナの行動がいつもと違いました。同居させると、アーシャーに対してすぐにマウントを始めたのです。アーシャーの態度も今までと違いました。ダーナに対してお尻を向けた後、動かずに踏ん張っています。

 こうして何度もマウントが繰り返されました。最初はなかなか交尾にまでいたりませんでしたが、繰り返すうちに慣れてきたのか、何度も交尾をするようになりました。

 それだけではありません。室内への収容時間になってもダーナは部屋に入ろうとしません。しかも、アーシャーの入室を妨害します。いっときもアーシャーと離れたくないようです。

 こうして室内に収容することなく同居が続きました。交尾は昼も夜もおこなうので、私たちゾウ担当者は交尾の確認をするために、24時間体制で観察しました。しかし12月24日になると、ダーナとアーシャーにも疲れが見えてきました。20日から24日までの5日間、2頭はほとんど食事をしていません。アーシャーはお腹が空いているようです。ダーナが油断したすきに、とうとうアーシャーが部屋に飛び込んで、5日連続のペアリングは終了しました。

 ダーナは翌25日になって、ようやく運動場から室内に入りました。この5日間でマウントは68回見られ、そのうち26回で交尾が確認されました。

 現在ペアリングは中止しています。2頭はそれぞれの運動場でたくさん餌を食べ、ゆっくりと過ごしています。妊娠が確認できるのはまだ先になりますが、よい結果が出てくれることを願っています。

(2010年01月15日)



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