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プレーリードッグ舎リフォーム!「ガラス展示室」
 └─2009/06/26

 上野動物園のプレーリードッグ放飼場に向かってすぐ左側に、“銀色の箱”があるのをごぞんじでしょうか? この箱は「ガラス展示室」と呼ばれています。このたび、このガラス展示室をリフォームしました(写真)。

 ガラス展示室ができたのは2005年。巣穴を掘って地中で生活するようすをお見せするのが目的です。放飼場との間に設置した1本のトンネルを通ってガラス展示室にやってきてくれるはず──でしたが、設置当初、なかなか入って来てくれません。前面がガラスなので、外から丸見えになるのがいやなのか、それとも狭いのがいやなのか(ガラス面から奥の壁まで約15センチ)……。

 なんとか住み心地を改善しようと、黒土を入れたり、わらや乾草を入れたりしましたが、結果は思わしくありません。しかし昨年(2008年)、金網やモルタルを使って野生の巣穴を再現した「人工巣穴」をガラス展示室の向かって左側半分に設置したところ、ガラス展示室に入る個体が徐々に増え、ガラス室内でえさを食べたり、乾草を取りに来たり、活発に動くようになったのです!

 そして今回、FRP と呼ばれる強化プラスチックで巣穴を作り、リフォームをおこないました。これまでの人工巣穴からさらに進んで、ガラス室全体を動き回れるよう担当者が巣穴をデザインし、プロに制作を依頼しました。これなら、プレーリードッグが丈夫な歯でガリガリやっても削れることはありません。しかも、巣穴はパーツごとに取り外すことができるので、壊れたり、汚れたりしたときのメンテナンスも簡単!

 工場で作られた巣穴のパーツをガラス展示室に設置する工事は3日で終わりました。ただし、「新築の室内のにおい」のような臭気が充満していたため、それから5日間、ガラス展示室へのプレーリードッグ立ち入りは禁止。「シックハウス症候群」防止のためです。同時にガラス展示室内には炭を置き、休園日はガラス窓を全開にし、臭いが取れるようにしました。

 そして2009年6月9日、不安な思いでオープン初日を迎えましたが、担当者の心配をよそに、プレーリードッグたちはまったく警戒することなく、ガラス展示室に入って来てくれました。中には室内で乾草にくるまれながら爆睡してしまう子も。そんな彼らを見て、ホッと胸をなでおろしたのでした。

 現在、おとなも子どももガラス展示室にやって来ます。放飼場は少し離れていますが、ここでは間近で彼らのすがたが見られます。小さい耳や足の指の数まで数えられるはず。どんなふうに草を食べているでしょう? また、ガラス室内での滞在時間が延びたためか、糞もよくするようになりました。糞はどんな形をしているでしょう? こうしたプレーリードッグの行動を知るには、ガラス展示室でよーく観察していただくのがいちばんです。そして、放飼場とはちがう、あなただけの観察ポイントをぜひ見つけてみてくださいね。

〔上野動物園東園飼育展示係 川崎繭〕



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