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アイアイとキツネザルを新施設に移動
 └─2009/05/30

 2009年5月23日、上野動物園に「アイアイのすむ森」がオープンしました。3月末に工事が終わり、その後は、展示室を造るために毎日木や竹を組み上げ、怒涛の3週間が過ぎ去りました。実際、展示室が完成したのは動物搬入の前夜というケースがほとんどだったのです。

 新施設に初めに入ったのは、東園で展示していたクロシロエリマキキツネザルのペアでした。5月17日の朝、室内展示室へ移したのですが、メスの「イブ」は緊張のあまり、しばらくうつぶせになったまま、まったく動きません。かなり心配したのですが、その後、枝にも登るようになり安心しました。

 翌5月18日は、アイアイとハイイロジェントルキツネザル全頭の大移動です。アイアイはなるべく静かに運びたかったため、巣箱の入口に運搬用の箱をつけ、巣箱の中にいるアイアイを運搬用の箱に直接追い込んでから、移動する方法をとりました。アイアイが巣箱にいるうちに作業しなければならないので、いちばん早起きのオスの「マミルア」が目覚める前、朝の7時半から取りかかりました。アイアイを無事移動させ、ハイイロジェントルキツネザルもケガをさせることなく、新居に入れることができました。

 同じ5月18日の午後、今度はワオキツネザルの引越しです。まず、東園にいるワオキツネザルのうち、1週間前に出産した母子を除いて、オス3頭を移動させました。つづいて、この日羽村市動物公園から到着したオス2頭も、新施設へ運びこみました。

 ワオキツネザルの展示場は、不忍池のほとりにある寝室から、池の中にある島まで、約8メートルの吊り橋がかかっています。島までなかなかわたろうとしませんでしたが、搬入後1週間後には全頭がわたりました。

 また、公開前日にブラウンキツネザル2頭が進化生物学研究所から到着。さらに、クロシロエリマキキツネザルが市川市動植物園とサンシャイン国際水族館から1頭ずつ来園しました。

 準備も動物たちも間に合うか不安な日々でしたが、こうして無事オープンできて心からほっとしています。アイアイも含め、少しずつ環境になれてきました。浮き桟橋を歩くと、不忍池やその周囲にはこれまでの上野動物園とは異なるひろびろとした空間が広がっています。気持ちのよい景観とともに、あたらしい施設をぜひお楽しみください。

写真上:上野動物園東園からオス3頭を移動
写真中:羽村市動物公園から到着したオス2頭も移動
写真下:環境に慣れ、水上にかかる吊り橋をわたるワオキツネザル

・東京ズーネットBBの動画
 「『アイアイのすむ森』完成! 式典開催

〔上野動物園西園飼育展示係 細田孝久〕

(2009年05月30日)



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