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66回目の開園記念日にあたって
 └─ 2024/05/05
 2024年5月5日に多摩動物公園は66回目の開園記念日を迎えます。

 現在、関東近県の養鶏場における高病原性鳥インフルエンザの発生により、園内のウォークインバードケージなどでの鳥類展示を中止しています。これは、都立動物園・水族園を管理する公益財団法人東京動物園協会で定めた高病原性鳥インフルエンザ対応マニュアルにもとづく措置です。動物園では鳥をはじめ、さまざまな動物を観覧いただき、野生動物のすばらしさを感じ取っていただくことを願っていますが、昨年2月の園内発生を受けた再発防止策の実施も含め、みなさまには大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解いただければ幸いです。

 さて2024年の多摩動物公園は、春先に高齢動物の死亡などの悲しいお知らせが続きましたが、3月中旬からは、タスマニアデビル、タイリクオオカミ、レッサーパンダといった動物が海外から新たに来園したり、サーバルやアムールトラが誕生したりといったうれしいニュースもありました。

 私個人としては、動物の導入や誕生については、担当者の在職期間中の努力だけではなく、運などもあるため、例年開園記念日にあたって思いを馳せるのは、多摩動物公園がこれまで長きにわたって動物の展示などを続けて来園者をお迎えし、さらに多くの方々に応援していただいている歴史の重みです。

 まず、本年5月には、都市型の動物園として世界初のサファリ形式の展示となったライオンバスが運行開始から60年目を迎えます。サファリ(Safariはスワヒリ語では「旅、遠征」を意味し、狩猟を目的として東アフリカの国々に長期間遠征すること)は、古くから小説や映画の題材となっていますが、多摩動物公園の園内でライオンがすごす空間に来園者が入っていく形式の展示は、海外で大変話題となったそうです。しかしこの展示の構想から実現までには、飼育動物と観覧者の安全確保だけでなく、動物が園内外へ脱出しない施設運営について近隣にお住いの方々にご理解をいただかなければならないなど、大変な苦労があったと聞いています。

 1枚目の写真は、5月1日の運行開始前の飼育担当者とライオンバス運行の関係者の朝礼のようすです。ライオンバス車庫内で毎朝おこなわれ、飼育担当者も最低1名は立ち合い、安全安心な運行について、細心の注意を払います。本稿で60周年についてふれることから、特別に私も朝礼に参加しました。


朝礼のようす(2024年5月1日撮影)

 もう1枚の写真は、スタッフ一同で撮影した写真です。多くのスタッフが協力しながら運行しています。最近乗っていないなと思った方は、ぜひ今年はライオンバスのご乗車を検討してみてはいかがでしょうか。


スタッフ一同(2024年5月1日撮影)

 次に、10月はコアラの来園40周年となります。現在は、Webサイトやソーシャルメディアで野生のコアラの情報や各地の動物園での飼育のようすといった情報を得ることができます。しかし、1984年当時は情報の収集方法は限られており、その記録を読むと大変興味深いものです。

 日本でのコアラ飼育開始の前年、1983年11月の中川志郎氏(元多摩動物公園長)のお話では、その当時コアラを飼育していた施設は、オーストラリア以外ではアメリカのサンディエゴ動物園とロサンゼルス動物園の2か所だけだったそうです。現在は国内に60頭弱のコアラがおり、血統管理をおこないながら、飼育下での個体の維持と増殖に取り組んでいますが、大きく時代は変わったといえるでしょう。

 今年度の多摩動物公園では、このような周年事業も含め、園としてさまざまな企画の実施や記事などによる情報を発信していく予定です。また、このほかの動物の情報、園内の自然や園が取り組む野生動物保全や研究などの情報も発信していきます。

 最後になりますが、園内では引き続きサバンナエリアの整備工事をおこなっています。観覧経路の迂回など、みなさまに引き続きご迷惑をおかけすることとなりますが、ご理解ご協力をお願いいたします。

 職員一同、みなさまのご来園を心よりお待ちしております。

〔多摩動物公園長 渡部浩文〕

(2024年05月05日)



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