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ソデグロヅル、元気にすごしています
 └─ 2023/06/23
 2023年2月に、園内で飼育しているツクシガモ5羽とソデグロヅル1羽が高病原性鳥インフルエンザに感染し、死亡しました。それにともない2月16日から園内の防疫対策の強化のために臨時休園をしていました(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

 4月10日に再開園してからも、来園者のみなさまからソデグロヅルへの心配のお言葉をいただいています。


ケージ内のソデグロヅルのようす

 死亡したソデグロヅル以外の13羽については、すぐに簡易検査をおこなったところ全羽陰性でした。後日、より精密な遺伝子検査でも陰性という結果になりました。

 ウイルスで汚染されている可能性の高い死亡鳥の発生したケージからツルを隔離することでさらなる感染を防ぎ、各個体の経過観察をおこないました。隔離するにあたっては、飼育していた場所により、2つのグループに分けました。1つ目のグループは、死亡鳥と同じケージで飼育していた6羽です。この6羽はウイルスを保有している可能性があるため、できる限り現地から移動させず、ソデグロヅル舎にある2つの小さなケージで飼育しています。

 隔離飼育にあたって、万が一ソデグロヅルが感染していた場合に野鳥に感染させないよう、遮光ネットという黒いネットでケージ全体を覆いました。この作業はとても大がかりなものでしたが、担当動物や所属の垣根を超えた大勢の職員が協力し、短期間のうちに完了することができました。検査後の経過観察期間をすぎても体調不良の個体はみられなかったため、通風を確保してツルの熱中症を防ぐことを目的に、現在遮光ネットは天井部分以外を剥がしている状態です。


現在のソデグロヅル舎

 2つ目のグループは、死亡鳥とは別のケージで飼育していた7羽です。この7羽は死亡鳥とは別のケージで飼育していたため、比較的感染している可能性が低いと考えられます。そのため、ソデグロヅル舎とは別の獣舎に移動して飼育をおこなっています。

 ここはもともと鳥類を飼育するための獣舎ではなかったため、ツルの脱走や怪我などのリスクを考慮しながら改修をおこないました。よく立っている場所にクッションマットを敷くことで足への負担を軽減したり、室内でも退屈しないように床に好物のミルワームを撒いたりと、ツルができる限り快適にすごせるように工夫をしています。


隔離施設内の一室のようす

 今後、鳥インフルエンザから飼育鳥類を守り、展示をするためには、野鳥との接触を防いだり、展示場や園内にウイルスを持ち込まないように消毒を徹底したりと対策の手をより一層強めていく必要があると痛感しました。ソデグロヅル舎でも、どのようにすれば感染のリスクを抑えながら安定した飼育展示を継続することができるかを検討しています。

 明確な展示再開のめどは付いていませんが、ソデグロヅルは元気にすごしています。再公開まで安心してお待ちください。

〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 横濱〕

(2023年06月23日)



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