ニュース
65回目の開園記念日にあたって
 └─ 2023/05/05
 2023年5月5日、65年目の開園記念日をようやく迎えることとなりました。

 この数年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまん延防止などの対応が運営に大きな影響を与えていましたが、本年2月に園内で高病原性鳥インフルエンザが発生、直後から防疫・消毒作業に追われました。また、4月10日の再開園に向け迅速に事案を日々解決していきました。

 動物園は3月下旬の桜花期から繁忙期ですが、今年は高病原性鳥インフルエンザに関連した消毒作業や汚染が疑われる器具機材や排水処理などへの対応に、すべての部署で職員が一丸となって取り組みました。さらに消毒が完了しても、再開園に向けての作業は困難なものでした。

 飼育している鳥が今回の感染で死亡したのは「カモ池」と「ソデグロヅル舎」の2か所でしたが、園内でほかの動物を飼育しながら感染拡大防止を図るために、園路や管理通路を含め、かなり広範囲に消石灰を散布しました。したがって、再開に向けてはこれらの消石灰除去や各所の清掃を短期間でおこなう必要がありました。作業は未経験のものでしたが、関係事業者の方々にも方法を検討いただき、飼育管理する動物への影響を考慮しながら、速やかな開園にこぎつけることができました。関係者のみなさまに御礼申し上げます。

 また、2か月弱の臨時閉園期間中には、多くの方から励ましのお言葉をいただき、さらに再開園後も、今回死亡した鳥や感染拡大防止のために殺処分となった鳥類や感染拡大防止のために殺処分となった鳥類に対して、多くの方から献花が寄せられました。園を応援していただいたみなさまに心より感謝いたします。高病原性鳥インフルエンザの世界的拡大が野生動物に影響を与えていますが、今後も警戒を続け、真摯に取り組んでいく所存です。

 さて、開園記念日にあたり、多摩動物公園の5月の新緑は魅力の一つとして大切です。開園当初の写真を見ると、現在とは異なる様相に、整備がおこなわれてきた歴史を改めて感じます。当時はあまり高い樹木がなく、現在のようすは素晴らしいものです。

 近代動物園の役割の表現である「動物園は自然の窓である」という言葉を昨年もとりあげましたが、樹木や野鳥といった自然環境を感じながら、野生動物の展示を享受することは、深遠な自然環境とそこに棲む動物への興味をもつ重要な機会となります。私たちは、これからも動物や自然に関する情報を発信しつづけ、多くの方々を動物園にお迎えしたいと考えています。COVID-19拡大防止対策には今後も配慮が必要ですが、全国的に一部が緩和されており、屋外施設である園内をさまざまな面で楽しんでいただければ幸いです。

 最後になりますが、昨年の新キリン舎完成以降も引き続きシマウマ舎などの整備工事がおこなわれているところです。観覧経路の迂回など、みなさまに引き続きご迷惑をおかけすることとなりますが、ご理解ご協力をお願いいたします。

 職員一同、みなさまのご来園を心よりお待ちしております。


園長 渡部浩文

〔多摩動物公園長 渡部浩文〕

(2023年05月05日)



ページトップへ