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高病原性鳥インフルエンザ発生への多摩動物公園の対応
 └─2023/04/13
 多摩動物公園では飼育鳥類において高病原性鳥インフルエンザが確認され、2023年2月16日(木)から臨時休園を続けてきましたが、防疫措置が完了したため、2023年4月10日(月)から再開園しました(お知らせ)。長らくご迷惑をおかけしました。引き続き、飼育動物の健康管理と感染防止対策を徹底してまいります。

1. 経緯

2月11日
 11時頃 カモ池で飼育していたツクシガモ2羽の死亡個体を発見。
2月14日
 8時半頃 同じ池で飼育していたツクシガモ1羽の死亡個体を発見。鳥インフルエンザ簡易検査を実施したところ、3羽とも陽性を確認。
 16時頃 同じ池で飼育していたツクシガモ1羽の陽性を確認。安楽死処置。
2月15日
 8時頃 カモ池で飼育していたツクシガモ1羽の死亡個体を発見。
 17時頃 死亡個体の簡易検査実施。陽性を確認。
2月16日
 園内の防疫体制強化のため、当面の間臨時休園(お知らせ)。
2月17日
 2月11日および2月14日に死亡したツクシガモ4羽について国立環境研究所で遺伝子検査を実施し、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)と判明。
2月18日
 カモ池で飼育していたカモ類26羽(ツクシガモ9羽、アカハシハジロ9羽、ホシハジロ1羽、キンクロハジロ5羽、ヨシガモ1羽、オカヨシガモ1羽)を安楽死処置。
2月23日
 11時半頃 ソデグロヅル舎で飼育しているソデグロヅル1羽の死亡個体を発見。
 12時半頃 簡易検査を実施したところ、陽性を確認。
2月24日、27日
 飼育するソデグロヅル全13羽について簡易検査を実施し、すべて陰性。これら陰性個体は隔離施設に移動のうえ、健康観察を継続。
3月1日
 2月23日に死亡したソデグロヅル1羽について国立環境研究所で遺伝子検査を実施し、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)と判明。
3月24日
 健康観察中のソデグロヅル13羽は隔離後21日以上異状が見られず、感染の有無を確認するために鳥取大学で遺伝子検査を実施したところ、高病原性鳥インフルエンザウイルス遺伝子は検出されなかった。
3月29日
 ソデグロヅル舎およびカモ池の3回目の消毒が終了し、園内の防疫措置完了。
3月30日
 園内の清浄化等、防疫措置の完了について都関係機関等に説明。
4月4日
 東京動物園協会の「動物事故・感染症対策部会」で園内の清浄化等の防疫措置完了をふまえ、再開園の方針を決定。
4月10日
 一部の区域を除いて再開園。

2. これまでの防疫対策

  • 臨時休園(2月16日~4月9日の53日間)
  • カモ池で飼育するカモ類27羽の安楽死処置
  • ソデグロヅルの隔離と経過観察。簡易検査、遺伝子検査による安全性の確認
  • 発生場所の徹底した消毒、洗浄、死体および汚染物の除去
  • 園内への進入者及び進入車両の制限(感染源の拡散防止措置後72時間)
  • 園内へ進入する車両等の消毒の実施
  • 消毒マットによる園内進入者の靴底の消毒
  • 鳥類との「ふれあい」の中止(アジア園「ウォークイン・バードケージ」の閉鎖)
  • 野鳥飛来抑制のため、アジア園「水鳥池」の水抜き
  • 各動物舎での消毒槽および消毒マット設置と関係者の手洗いの徹底
  • 感染リスクの高い飼育鳥類の移動と隔離
  • 隔離しない飼育鳥類のケージ上部に防鳥ネットや防鳥テープ等の設置
  • 隔離しない園内鳥類飼育施設周辺への消毒剤散布

3. カモ池のカモ類の安楽死処置について

 今回最初に発生が確認されたカモ池では、飼育するツクシガモがあいついで4羽死亡し、鳥インフルエンザ簡易検査で陽性と判明しました。感染源や経路が判明せず、園内での拡大防止を第一に考えなければなりませんでした。
 カモ池で飼育していたカモ類は、無症状でも他の鳥に感染を広げる可能性があり、また、同じ施設のすべての鳥を隔離して管理することが困難であることから、園内で飼育している他の鳥への感染拡大防止対策を迅速におこなうためには、カモ池で飼育するカモ類27羽をすべて安楽死処置することが必要と判断しました。

4. ソデグロヅルの措置について

 ソデグロヅル舎での高病原性鳥インフルエンザ発生については、最初に確認されたカモ池から離れていることや、カモ池とソデグロヅル舎の飼育担当者が異なるので人間の動線上も関連がないこと、他の飼育施設との距離もあること、隔離場所の確保についても見通しが立ったことなど、カモ池とは状況が異なっていました。
 また、国内における今シーズンの高病原性鳥インフルエンザの流行状況から見て、飼育している鳥どうしで生じた感染ではなく、野鳥等の侵入による感染がもっとも疑われるという見解を専門家からいただきました。
 そこで、ソデグロヅル舎とは異なる場所で管理していた2羽と、感染鳥と同居していた11羽の計13羽については、簡易検査で陰性であることを確認したうえで必要な隔離をおこない、経過観察を続けることとしました。
 

5. 再開園日の決定

 園内の防疫措置が完了し、清浄化に関する確認が完了したことから、2023年4月10日に再開園することを決定しました。なお、国内外における高病原性鳥インフルエンザ発生状況をふまえて、再開園後も必要な感染防止対策を実施していくこととしました。

6. 再開園後における感染防止のための対応

  • 高病原性鳥インフルエンザの国内発生状況に応じた飼育鳥への防疫対策の継続
  • 家きん類飼育施設周辺区域の防疫対策継続
  • 鳥類飼育施設への野鳥侵入防止対策等の措置および施設改修
  • 高病原性鳥インフルエンザ流行前からの飼育鳥の健康管理、およびさらなる感染防止対策のための衛生管理の徹底
  • 感染リスクの高い鳥の移動や隔離場所の確保

カモ池の消毒
ソデグロヅル舎の消毒

園路での消毒
フライングケージ周囲の消毒

野鳥侵入防止のための施工
再開園に向けた準備(消毒剤の除去)

(2023年04月13日)



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