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ライオンの新しい群れづくり
 └─ 2023/04/07
 多摩動物公園の現在のライオンの群れは、1994年に来園した3頭のメスからスタートしました。繁殖は群れのメスと非展示スペースで飼育している別血統のオスでペアリングをおこない、生まれたメスは群れに残す方法で維持してきました。しかし、数年前から群れのメスでの繁殖がうまくいかなかったことと、ライオンバス駅舎のリニューアル工事のため繁殖を進められないでいたことが重なり、この群れを維持していくことが難しくなってしまいました。

 そのため、2020年にソウル大公園から迎え入れた「ミオ」(メス)から新しい群れを作る取組みを始めました。そして、昨年9月に三姉妹が生まれ順調に成長し、現在は体重25kg程度になりました。これまで、生まれた子は生後3ヵ月程度で群れ入れ(公開)させ、群れのルールや大放飼場に慣れさせてきました。その場合、群れ入れ後、1ヵ月程度は子どもたちが成獣どうしのトラブルに巻き込まれないように、ジープで一日中監視をおこないますので、子どもたちもジープが群れを制御しているものとわかるようになります。


三姉妹(ミオの子どもたち)

 しかし、ミオは群れのメンバーとして管理しておらず、すぐには群れのメスといっしょに出すことはできない状態でした。そもそもミオ自身も大放飼場には数回しか出たことがなく、環境に慣れていないため、まず休園日に大放飼場に出してみることにしました。昨年12月に初めて親子で大放飼場に出した際は、かなり神経質で落ち着かないようすでした。室内に戻す時間になっても、獣舎に戻る気がないのか、場所がわからないのか、その気配がまったく見られません。ジープを出して誘導を試みたのですが、ジープが何なのかわからないようでうまくいかず、最終的にはサブのジープも出して、2台で誘導してやっと入舎させることができました。

 その後は、練習を続けるうちに、徐々に大放飼場内でも親子でリラックスしてすごすようになり、最近では獣舎の出入口扉を開けると自ら戻ってくるようになりました。


放飼練習中のミオ親子

 今後は、ライオンバスの走行時にどのような反応をするか、駅舎の出入口から間違えて中に入ったりしないかなど、確認しながらさらに慣らしていかなければなりません。公開についてはまだまだ先の予定なので、しばらくお待ちください。

 なお、現在展示している群れも、これまでどおり飼育していき、新しい群れの展示が始まっても並行して展示していく予定です。

〔多摩動物公園 前・北園飼育展示係/現・南園飼育展示2係 八坂〕

(2023年04月07日)



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