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サルたちの名前の話
 └─ 2023/03/10
 2023年1月の時点で、多摩動物公園のサル山には、オス28頭・メス33頭合計61頭のニホンザルたちがくらしています。サルたちは、自分の名前が何であるのか理解していませんが、担当者が見分けるために群れのメンバーたちに名前を付けて、生年月日や体重、出産、病気などの個体履歴を記録しています。

 メンバー名の一部を、年齢の高い方から順番に生まれ年ごとに書き出してみると、ニシキタケ・サクラタケ(1996年)、コノハガエル(1998年)、ケリ(2000年)、ミミイカ・スボヤ(2001年)、ハス(2002年)、ツバキ・コナラ(2004年)、アイ・コン(2005年)、レンゲ・ハコベ・ケシ(2006年)、レモン・オリーブ(2010年)、オカリナ・エコー(2012年)、フウセン・カザグルマ・オテダマ(2013年)、ビオラ・オーボエ・フルート(2015年)、ヘチマ・オクラ・トウキビ・アサツキ(2016年)、ラッキョウ・イクラ・メンタイコ・アオノリ・フリカケ(2017年)、ベシ・ビッケ・オソマツ・ゼニガタ・アシタカ・モグタン・ヘムヘム・ノダメ(2018年)、ドヴォルザーク(2020年)、ワタオ・トッケビ(2022年)になります。

 よくみると、名前から同じ年齢の個体がわかるように、生まれ年ごとに命名テーマが決まっています。それぞれ、1996年は「キノコ類」、1998年「カエル類」、2000年「鳥類」、2001年「海産無脊椎動物」、2002年「魚類」、2004年「木本類」、2005年「色」、2006年「草本類」、2010年「果実」、2012年「音楽用語」、2013年「子どものあそび」、2015年「楽器」、2016年「野菜」、2017年「ご飯のおとも」、2018年「アニメなどのキャラクター」、2020年「音楽家」、2022年「韓国ドラマの題名」となっています。

生まれ年個体名命名テーマ
1996年
ニシキタケ、サクラタケキノコ類
1998年
コノハガエルカエル類
2000年
ケリ鳥類
2001年
ミミイカ、スボヤ海産無脊椎動物
2002年
ハス魚類
2004年
ツバキ、コナラ木本類
2005年
アイ、コン
2006年
レンゲ、ハコベ、ケシ草本類
2010年
レモン、オリーブ果実
2012年
オカリナ、エコー音楽用語
2013年
フウセン、カザグルマ、オテダマ子どものあそび
2015年
ビオラ、オーボエ、フルート楽器
2016年
ヘチマ、オクラ、トウキビ、アサツキ野菜
2017年
ラッキョウ、イクラ、メンタイコ、アオノリ、フリカケご飯のおとも
2018年
ベシ、ビッケ、オソマツ、ゼニガタ、アシタカ、モグタン、ヘムヘム、ノダメアニメなどのキャラクター
2020年
ドヴォルザーク音楽家
2022年
ワタオ、トッケビ韓国ドラマの題名

 野生のニホンザルでは、オスは生まれた群れを出てほかの群れへ移るのがふつうです。また、子育てはメスのみがおこなうため、観察から父親を特定することは困難です。そのため、多摩動物公園のサル山家系図は母系集団で作成しています。

 名前の付け方にも、血縁を見分ける工夫がされています。母親の同じ子どもたちは頭文字が共通になっており、ヘチマとヘムヘムはエコーの子どもで、兄弟とわかります。また、群れの全個体は、1968年に小豆島から来た5頭のメス(マキ・アヤメ・フシ・ステ・オチョウ)に由来します。5頭の子孫には、頭文字の母音にそれぞれ順番にa・i・u・e・oがあてがわれており、ヘチマ・ヘムヘム・エコー(he/he/e)はステの家系であることがわかります。


「ヘムヘム」(左)と母親「エコー」(右)

〔多摩動物公園南園飼育展示第1係 由村〕

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(2023年03月10日)



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