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キリンの「ジジ」が死亡しました
 └─ 2023/01/27
 2023年1月24日、多摩動物公園のキリン「ジジ」(オス)が死亡しました。ジジは2020年9月26日に多摩動物公園で生まれました。年齢は2歳でした。


キリン「ジジ」
(撮影日:2023年1月13日)

死亡までの経緯

 ジジは2歳を過ぎ、オスどうしのいさかいが増えるなど、性成熟を迎える兆候が現れてきました。当園では計画的なオスの去勢を進めており、今年度中にジジにも実施する必要があったため、1月11日から隔離飼育し、処置の実施に向け、これまでの経験をふまえて園全体で慎重に準備をしてきました。

 去勢当日、朝からジジは落ち着いたようすでおり、午前10時に麻酔薬を投与した後も暴れることなく倒れました。首の長いキリンの麻酔時に必要となる、気道確保のための頭部の保持なども順調に進めましたが、その後突然呼吸が停止したため、麻酔継続を中止しすみやかに心肺蘇生の処置に移行しました。約40分間、人工呼吸器と胸部圧迫やマッサージ、投薬などを続けましたが呼吸が戻らず、残念ながら午前11時に死亡を確認しました。

 死亡後、すみやかに解剖を実施し、心臓での出血と肺への充血の所見が見られたことから、死因は循環器不全と見られます。さらに、大学で病理組織学的検査をおこない詳細な調査を実施する予定です。

当園でのキリンの繁殖制限(去勢処置)について

 国内のキリンは、日本動物園水族館協会の個体群管理計画にしたがって繁殖を進めており、これまで順調に繁殖に成功してきました。しかし、国内のキリン飼育園の限られたスペースのなかで不必要な闘争を回避するとともに、将来にわたって遺伝的な偏りのない、健全なキリンの群れを計画的に維持していくためには、繁殖制限が必要です。

 繁殖制限には大きく、オスをメスと分けて単独飼育する方法と、外科的な不妊手術により去勢する方法があります。アメリカなど海外の飼育園館においても、単独飼育の個体を増やすよりも去勢し群れに戻した方が動物のQOL(生活の質)維持に有効であるとし、個体群管理計画における繁殖制限の重要な手法として去勢を実施しています。

 当園では、動物福祉と種の保存のため、群れと顔を合わせられるスペースでのオスの単独飼育や、他園への搬出とともに、今後も去勢を実施する計画ではありますが、今回の個体の死亡をふまえ、死因やそれに至る要因を究明し、より個体にとって安全な処置となるよう、園全体で対策を検討したうえで実施していきます。

 このたびはたいへん悲しいお知らせとなりましたが、ご理解いただきますようお願いいたします。

 ジジの死亡後、当園で飼育しているキリンの個体数は、16頭(オス9頭、メス7頭)になりました。

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