ニュース
チーターの「カンガ」が死亡しました
 └─ 2023/01/17
 2023年1月12日、多摩動物公園のチーター「カンガ」(オス)が死亡しました。14歳でした。

 カンガは2009年1月6日に富士自然動物公園(富士サファリパーク)で生まれ、同年10月28日に多摩動物公園へ来園しました。これまでに当園のメスとのあいだで2回の繁殖に貢献し、7頭の子(死産の1頭を含む)が生まれました。

 今年1月7日から食欲が途絶え、11日に起立ができなくなりました。回復の見込みが立たず、今後、著しい苦痛の増大が予見されると判断し、たいへん残念でありますが、やむを得ず安楽死処置をおこないましたので、ご報告します。


チーター「カンガ」
(撮影日:2022年1月16日)

死亡までの経緯

 カンガは高齢になり、2022年9月ごろから、下痢などの体調不良が続いたため、整腸剤の投与に加え寄生虫の駆虫や糞便などによる検査をおこない、病状の改善に努めるとともに、室内ですごさせるようにしていました。

 12月に入ると、便状の不調に加え嘔吐が見られるようになりました。胃酸生成抑制剤や抗生物質の投与をおこない、便状が一時的に改善する日もありましたが回復には向かいませんでした。体力および食欲が低下していったため、カンガが食べやすいようミンチ状の肉を与える、肉汁を容器に分けて与えるなど、給餌方法の工夫もおこないました。

 2023年1月7日から採食が見られなくなったため、投薬方法を経口から吹き矢による注射に変更して、治療を継続してきました。しかし10日には吹き矢に対する反応も鈍くなり、投薬の効果が期待できないことから、以降の吹き矢処置をやめ、刺激を与えずに安静にしてQOLの維持に努めることとしました。11日から起立や移動が徐々に困難になり、12日には、自力でほとんど移動できなくなりました。さらに血の混じった嘔吐がみられ、頭を上げることがやっとの状態となりました。

安楽死処置の判断と実施

 2023年1月12日午後、これまでの状況の推移と当日朝の状況について、園長、飼育展示課長、獣医師、飼育係らで検討した結果、以下の理由から、安楽死処置をすることで苦痛を長引かせることを避けるのがアニマルウェルフェア(動物福祉)につながるものと判断しました。

安楽死処置判断に至る理由
・食欲廃絶と著しい体力低下が見られ、投薬による病状の回復が見込めず、苦痛の除去が困難なこと。
・高齢であり、麻酔のリスクを冒して、入院してさらなる検査・治療をおこなうことはかえって動物に苦痛を与えてしまい、カンガの生活の質(QOL)を損なうこと。
・横臥のまま吐血を繰り返すようになったことから、嘔吐物が呼吸器内に混入するなどした場合、肺炎を併発するなど、さらなる苦痛の増加が予見されること。
・このまま起立困難な状態が続いた場合、褥瘡(床ずれ)が生じるなど、新たな苦痛が増える可能性が高いこと。

 以上により、今後状態が急速に悪化していくことが予想されたため、当日夕方、苦痛を感じさせることのないよう配慮した方法で、安楽死処置をおこないました。

処置後の対応

 処置後、すみやかに解剖をおこなったところ、肉眼的に、脾臓、肝臓、腎臓など多数の臓器に異常が認められる多臓器不全の状態でした。これらの異常により、上記の「死亡までの経緯」に記した症状が発生したと考えられます。今後、大学で病理組織学的検査をおこなう予定です。

 なお、動物へのお花のお供え場所は動物慰霊碑としています。ご足労をおかけいたしますが、献花は動物慰霊碑へお願い申し上げます。このたびはたいへん悲しいお知らせとなりましたが、ご理解いただきますようお願いいたします。

 カンガの死亡により、当園で飼育するチーターは6頭(オス3、メス3)となりました。

◎関連ニュース
出産したチーター「スミレ」の帰還、そして多摩での「キキョウ」の出産&名前募集(2009年10月24日)
チーター舎がにぎやかです(2009年11月28日)
チーター「キキョウ」の3度目の出産(2011年7月15日)
キングチーターが生まれました!──国内で2例目の誕生(2012年11月1日)

(2023年01月17日)



ページトップへ