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来園から5年 チンパンジーの「サクラ」の今
 └─ 2022/12/23
 チンパンジーの「サクラ」(メス、13歳)は、2017年に当園のオスとの繁殖を目的に高知県立のいち動物公園から来園しました。5年の歳月が経ち、現在サクラがどのようにすごしているのかを紹介します。


チンパンジーの「サクラ」の今

 チンパンジーは、群れのなかでうまく付き合っていくために、挨拶や毛づくろいなどのコミュニケーションをとても大切にしています。挨拶では、自分より強い立場の個体に対して「オッオッオッ」と発声したり、おしりを向けて敵対心がないことを示したりすることで、相手との友好関係を築きます。

 サクラは来園当初から他個体に向けて挨拶を積極的におこなってきたため、比較的短期間で群れ入りを果たしていました。群れをまとめる役割を持つアルファオスとも友好関係を築いており、他個体とケンカになった際は味方についてもらえることが多々あります。そのためか、順位の高いメスに対してもひるむことなく接しています。

 また、毛づくろいは築いた友好関係を深める効果がありますが、サクラの場合、自分からおこなうだけでなく、他の個体に対して足を差し出して毛づくろいを要求し、実際におこなわれている姿もみられることがあり、群れにしっかりなじめていることがうかがえます。


他個体からグルーミングをうけるようす

 群れでの生活は順調ですが、育児に向けては現在経験を積んでいるところです。チンパンジーが育児をおこなっていくうえで、他個体の育児を体験することは非常に重要です。育児のようすを観察したり、実際にだっこや遊びをしたりすることで育児の基本を学び、自分が出産した際に役立てることができます。

 現在、群れには3歳の個体が2頭、今年生まれの個体が1頭います。サクラは子どもたちに対する興味が強く、3歳の子どもたちをだっこしたり遊んだりする姿がよくみられます。また、今年生まれの個体をだっこした際に、子どもがおっぱいに吸いつくようすも確認されています。このような姿から、将来出産した際に我が子を大切に育ててくれるのではと考えています。


子どもがサクラのおっぱいに吸いついているようす

 サクラも近い将来、群れのなかでの繁殖が期待されます。今後も、群れの仲間たちとの関係をさらに強めるとともに、これまでの育児体験を生かして自分の育児に繋げてもらいたいと考えています。担当者としてもそのときに備え、サクラが安全に出産・育児ができるよう体調管理に気を配り、安心してすごせる環境を整えるように努めていきます。

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〔多摩動物公園北園飼育展示係 佐藤〕

(2022年12月23日)



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