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事前準備はとても大事
 └─ 2022/12/02
 多摩動物公園において群れで飼育している鳥類の一部では、繁殖期を終え、涼しくなった10から12月ごろに、全羽をいっせいに捕獲して個体識別の標識をつけたり健康診断をおこなったりします。

 数十羽の群れで飼育している場合、どうしても1羽1羽の健康管理が難しいため、捕獲して身体の隅々まで健康確認をします。やはり鳥にとっては負担が大きいため年1回程度しかできないので、とても貴重な機会です。

 今年も、旧モウコノウマ舎の上にあるコウノトリ舎のニホンコウノトリ46羽とナベコウ7羽の合計53羽の一斉捕獲をおこないます。

 ニホンコウノトリは大型で飛翔能力が優れているため、飛び回る姿は迫力があり、とても美しい反面、驚いたりして飛び回ったときに金網に激突してしまう危険性があります。コウノトリを安全に飼育するためには、飛翔能力をある程度抑制する必要があります。そのため捕獲した際、飛翔に必要な風切羽の一部を切る「仮切り」と呼ばれる処置をおこないます(成長した羽は切断しても痛みや出血はなく、やがて生え変わります)。

 事前準備として、捕獲をスムーズにおこなうために広いコウノトリ舎を3分の1に仕切ります。仕切りは、コウノトリが万が一に衝突しても怪我をしたり、破損したりしないものでなければなりません。そこで選んだのは、やわらかくて丈夫な工事用防音防塵シートです。長さはなんと20m、高さは5mもあります。


仕切り幕の設置

 そして、コウノトリの捕獲はとても難しく危険な作業のため、当日はなんと30人以上の体制で臨みます。当然、ふだんコウノトリを担当している職員だけでは足りないので、さまざまな動物担当の職員に手伝ってもらいます。30人を超える人数での作業なので作業内容、手順、役割分担などの共通理解がとても重要になります。

 さらに、初めて参加する職員には映像や剥製を使った事前講習会もおこないます。コウノトリは長くて太いくちばしを使って抵抗するので、顔や頭を守るためのフェイスシールドやヘルメットは必須です。


事前講習会のようす

 さあ、当日に向けて準備は整いました。あとは無事に作業を終えることができるように何度も確認をします。どんなことも完璧なことはないのですからね。

〔多摩動物公園南園飼育展示第2係 川鍋〕

(2022年12月02日)



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