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マレーバクたちのこの1年
 └─ 2022/06/03
 2021年夏に新エリア「アジアゾウのすむ谷」の工事が完了したのに伴って、約6年間閉鎖していた園路が開通し、マレーバクをいろいろな場所から見られるようになりました。そのほか、この1年で多摩動物公園でくらすマレーバクに起こったさまざまなできごとをまとめてご紹介します。

 まずは2021年4月。ある大切なできごとがありました。が、詳しくはのちほど……。長い休園期間が明けて間もない6月30日、2016年に生まれた「コウ」(オス)が東武動物公園へ移動しました。コウは輸送箱へ入る練習にだいぶ苦労しましたが、無事に送り出すことができ、いまは繁殖に向けた準備をしているようです。

 コウの移動後には、2019年生まれの「カナエ」(メス)とお母さんの「ユメ」との親子分けを考えていましたが、2頭はいつも行動をともにしているため、なかなかそのタイミングがおとずれませんでした。日中カナエがひとりで行動していても、それはユメが見守ってくれている安心感があってこそでした。カナエは不安になると「ピーッ」と高い声で鳴き、ユメは「ケホッ」と鳴いて「ここにいるよ」とこたえます。

 しかし、カナエもコウと同様に国内のマレーバクの発展のためには次のステップが待っています。夜間はユメと別々の部屋ですごし、日中はユメといっしょの運動場ですごしながら、徐々にひとりで行動できるようになってきた2022年の3月2日、千葉市動物公園へお嫁入しました。ユメやおばあちゃんの「リザ」のように子育て上手なお母さんになる「夢が叶え」と願いを込めて送り出しました。

 それから2ヵ月後の2022年5月9日、ユメがメスの子どもを出産しました。カナエが移動前日までいっしょにすごしていたので、驚かれた方もいるでしょう。冒頭の「ある大切なできごと」は4月2日と3日のことでした。子育て中のユメに発情のサインが見られたので、まだまだ甘えん坊のカナエを運動場に残し、ユメを隣で過ごす「ケン」のもとへ移しました。とても相性のいい2頭はまったく問題なく同居でき、2日ともわずか1時間ずつの同居でしたが交尾を確認しました。この日から11ヶ月間、ユメはお腹の中で赤ちゃんを大切に育てつつ、カナエを見守っていたことになります。そして401日の妊娠期間を経て出産し、現在は4回目の子育て真っ最中です。

 この子どもには、当園生まれのケンお父さんと、偉大なリザおばあちゃんから一字ずつをもらって「リン」と名づけました。子育て上手なユメと元気いっぱいのリンの成長から目が離せません。


マレーバク「リン」
(撮影日:左 2022年5月10日、右 2022年5月25日)

〔多摩動物公園南園飼育展示第二係 齋藤〕

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(2022年06月03日)



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