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ゴールデンターキン、「ホイ」と「ナズナ」の引っ越し
 └─2021/03/19
 昨年(2020年)12月16日、多摩動物公園のゴールデンターキン舎では、母親「ホイ」(11歳)と娘の「ナズナ」(3歳)の引っ越しをおこないました。引っ越しといっても、同じエリア内での移動です。

 多摩動物公園ではこれまでターキンの繁殖に取り組み、また、国内の他のターキン飼育園と協力して、血統管理のための個体移動もおこなってきました。その結果、多摩の個体は9頭(オス4頭、メス5頭)にまで増えました。

 希少動物の繁殖に取り組むことは動物園の重要な役割の一つです。その成果として増えたターキンたちが群れで生活しているところを見ていただけるのは、とてもうれしいことです。

 しかしターキンの個体数が増えてくると、新たな課題が出てきました。個体数が順調に増えてきたことにともなって、今度はスペースの問題が生じるようになりました。体の大きいターキンのために、なるべく広い寝室や放飼場を確保することが必要です。また、現在は繁殖をコントロールするために、オスとメスを分けています。こうなると、全頭が均等に放飼場を使うことが難しくなってきます。

 そこで、スペースの問題を解消するために工夫をしました。ターキンエリアには、寝室を含む建物とは別棟の予備舎が、隣のシャモア放飼場側にあります。この予備舎にホイとナズナの2頭を移動することにしました。予備舎はしばらく使っていなかったので、2つある放飼場の草刈りや改修などの整備を進めました。

新放飼場の2頭
木の幹で体をこするホイ
斜面を歩く2頭(手前:ナズナ、奥:ホイ)

 引っ越し当日は、他の職員の協力も得て、無事に作業を終えることができました。ホイとナズナは住み慣れた場所から新環境に移ることになりましたが、今では新しい寝室と放飼場にも慣れて、落ち着いて過ごしています。

 ホイとナズナがシャモア側の放飼場に出ているときは、園路から見ることができます。放飼場は園路より高く、見上げる位置にあります。また、山の地形をそのまま利用しているので、けっこうな急斜面です。担当者は放飼場を歩くたびに、登山をしているような気分になります。しかし、ターキンは高山に住む動物なので、大きな体で巧みに斜面を上り下りしています。

 隣の放飼場にいるシャモアは、意外なお隣さんの出現に、初めの数日間は戸惑っていましたが、今では慣れたようすです。放飼場の中には、コナラの大木が数本生えています。そのでこぼこした木肌が、体をこするのに適しているらしく、気持ちよさそうにこすっています。また、中腹には高さ50cmほどの切り株があり、ナズナはときどきその上に乗って、まわりを見おろしています。

 ホイとナズナが移った放飼場は、このように従来のメインの放飼場とは違った特徴があります。急斜面を2頭のターキンが歩く姿はじつに印象深いものとなりました。引っ越しのおかげで、今まで見たことがなかった2頭の行動が引き出されたようです。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 生井澤〕

(2021年03月19日)


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