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インドサイ「ゴポン」が多摩にやって来るまで
 └─2020/12/25
 2020年12月9日、横浜市立金沢動物園からインドサイのメス「ゴポン」が多摩動物公園にやってきました! 大型草食獣の移動はめったにない機会なので、移動の経緯をお伝えします。

 ゴポンを運ぶための輸送箱が金沢動物園に到着したのは11月16日でした。ゴポンの体重はおよそ2.5tです。輸送箱もそれに応じた大きさと頑丈さが必要です。今回の輸送箱は鉄製で、クレーンで吊るすための突起も付いた立派なものです。重さは輸送箱だけで2t、ゴポンとあわせて5t弱です。もちろんクレーンも必要です。今回準備したのは25tクレーン。そして輸送には10tトラックを使用しました。


輸送箱を乗せたトラック

 車の準備だけでなく、ゴポンが輸送箱にすんなり入ってくれるよう、慣らしていかなければなりません。こちらは金沢動物園の職員の方々の日ごろの馴致(トレーニング)のたまもので、ゴポンはすぐに箱に慣れ、数日ですっぽり中に入ってえさを食べるようになったそうです。

 こうして毎日輸送箱の中でえさを食べる機会をつくり、輸送箱が怖いものではないということがわかるようにした結果、搬出当日は問題なくゴポンを輸送箱に収容し、クレーンを使って10tトラックに載せることができました。金沢動物園の職員の方もゴポンといっしょに来園していただき、アドバイスをいただきました。

 金沢動物園から高速道路に入り、渋滞もなく約2時間で多摩動物園に到着。すぐにトラックからの荷下ろし作業に入りました。事前に用意してあった25tクレーン車で輸送箱を吊るし、インドサイ舎管理用通路入口へとそっと降ろしました。そして、チルローラーという器具を使ってゆっくりと室内搬入口まで水平に運び、輸送箱をインドサイの寝室の入口にしっかりと固定しました。固定の際は、万が一ゴポンが暴れて輸送箱がずれてしまったりしないよう、運送業者の方のアドバイスを受けながら念入りにおこないました。


クレーンで吊るして運ばれる輸送箱

 輸送箱が室内入口に固定されたのを確認し、いよいよゴポンを輸送箱から室内に移動させる作業に入りました。作業メンバーでの打ち合わせを念入りにしたうえで取りかかります。まず「馬栓棒」(ませんぼう:出入りを防ぐための差し込み式の棒)を縦、横の順にていねいに外していきます。職員は作業中も声を掛け合い、手順を確認しながら進めました。輸送箱と室内の出入りが自由になると、ゴポンはゆっくりとお尻側から室内に入り、あちこち確認するようにうろうろと動いていましたが、とても落ち着いたようすでした。



室内で落ち着いたようすのゴポン

 金沢動物園の職員の方がゴポンを輸送箱に入れる作業を開始したのが朝6時、金沢動物園を出発したのが9時20分、無事室内に入ったのが夕方4時だったので、10時間を超える作業となりました。金沢動物園、多摩動物公園、輸送業者それぞれが互いに協力し、事前の綿密な準備によって無事にゴポンを移動させることができて安堵しました。

 ゴポンは翌日もとても落ち着いたようすだったため、さっそく外の放飼場にも出すことができました。順調に多摩でのくらしを始めたゴポンをぜひ見に来てください。そして、インドサイを運ぶとなるとどれほどの作業が必要か、その巨体を目の前に想像してみてください。


到着翌日、放飼場に出たゴポン

〔多摩動物公園飼育展示課調整係〕

(2020年12月25日)



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