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キリン出産までの長い準備作業
 └─2020/12/11
 多摩動物公園ではこの秋、アフリカ園のサバンナでキリンが3頭生まれました。その出産の準備についてご紹介します(キリン誕生ニュース3編:ユリアの出産アミの出産ユリネの出産)。


生まれた日の朝、産室で座っている「ジジ」

 キリンの出産準備は出産予定の約1か月前から始まります。まずキリン舎にある産室の準備です。産室は寝小屋とつながっていて、塀と扉で仕切られています。塀の高さは2m程度で上部空間は空いていてキリンどうしのコミュニケーションがとれます。

 産室を清掃して中央に稲わらを積み上げ、出産予定のキリンを群れからパドック(メインの運動場とは別の小運動場)へ、そして産室へと誘導します。産室に入ったキリンは自分で稲わらの山を踏んで崩し、部屋一面に敷くように広げていきます。この状態でキリンが糞をすると稲わらにくっついて塊ができるのですが、翌日は私たちがそこに稲わらを重ね、さらにキリンに踏んでもらいます。これが一定の厚さになるまで毎日続けると、約10日から2週間で稲わらの産床のできあがりです。

 その後は出産にいたるまで、糞尿で汚れた稲わらを飼育係が毎日取り出し、新しい稲わらを加えます。稲わらの産床を作るのは、生まれた子がしっかり立てるようにするためです。

 キリンの子は1時間ぐらいかけてふらつきながら立ち上がりますが、床がコンクリートのままだと、出産時の羊水で濡れて滑りやすく、転んでしまう場合があります。転んだときに四肢を外側に広げてしまって肢を戻せず、立ち上がれなくなって死んでしまうこともあるのです。そこで、稲わらを敷き詰め、子の蹄が床をしっかりつかんで滑らないようにします。
また、母親は立ったまま出産するため、高いところから子が床に落ちるときの衝撃を和らげるのも目的の一つです。

 出産当日は親子とも産室で過ごし、翌日以降は天候や気温に注意しながら、パドックと寝小屋内を出入り自由します。

 出産予定日が近い個体が他にもいる場合は、産室をもう一部屋用意し、2か所で同じ作業を勧めます。今回は「ユリア」と「アミ」の出産予定日が近かったので2か所同時進行でした。そして、ユリアとその子「ジジ」が無事群れに入ると、空いた産室にはやはり出産を控えていた「ユリネ」が入ることになりました。

 キリンの出産のニュースをお届けするまでにはこうした長い準備期間があります。

 生まれたキリンのうち2頭は群れに入りました。もう1頭も順調に育っています。アフリカ園のサバンナではキリン舎の工事が始まっておりご不便をおかけしますが(お知らせ)、生まれた子どもたちを見に多摩動物公園にぜひお越しください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 井上邦雄〕

(2020年12月11日)



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