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ライオン園の再オープンに向けて、その3
 └─2020/11/20
 前回、今年(2020年)の8月にライオン園の工事状況や群れについてお知らせしてから3か月が経ちました(ニュース「ライオン園の再オープンに向けて、その2」)。この3か月で状況は大きく進みました。

 8月に入って約3年におよんだ工事がようやく終了し、新しいライオン園が完成しました。完成後もライオン園の安全性を確認するために2週間ほどの準備作業を実施し、8月19日にいよいよライオンを初めて放飼場に出すことになりました。当然、ライオンが脱出するようなことがあってはなりません。そこでライオンの飼育担当者は監視室だけでなく、車に乗って放飼場内で待機し、他の職員にもライオン園を囲む園路での見回りをお願いするなど、万全の状態で臨みました。


放飼場でくつろぐオス2頭

 初めて出したのはオスの「ジャンプ」と「スパーク」です。2頭は今まで繁殖を目指して裏の放飼場で飼育しており、仮設放飼場に出た経験はありましたが、新しくできたライオン園は初めてです。

 どんな反応をするだろうか、もしかして全然動かずに扉の前でじっとしているんじゃないかとドキドキしながら扉を開けると、2頭は「え、出ていいの?」といったような少し困惑したようなようすを最初は見せたものの、担当者の心配をよそに小走りで放飼場に出ていきました。その後、やはり不安なのか、お互いに離れることなく、放飼場内を何周も見回っていましたが、数日経つとそれぞれお気に入りの場所でくつろいで過ごすようになりました。


放飼場で休息中のメスたち

 9月2日からはメスを出す練習も始めました。メスたちは以前の放飼場にも出たことがありますが、工事後、地形なども大きく変わっています。新放飼場が初体験の個体がいる日は、ふだん以上に緊張感をもって取り組みました。

 最初に出したのは「ナナ」「ルエナ」「トワ」「ニイナ」のメス4頭とジャンプ、スパークのオス2頭です。この組み合わせの場合、地形の変化の他に心配していたことがありました。それは群れの力関係です。「その2」でもお知らせしたように、展示休止期間に群れの力関係は大きく変わり、さらに群れに入るオス個体そのものも変わっています。次の動画はメスを初めて出したときのようすです。

※映像に揺れがありますので、閲覧時はご注意ください。

 群れが安定するよう、休止期間中も非公開エリアの小さい放飼場で同居の練習などをしてきましたが、小さい放飼場では同居させられなかった組み合わせもありました。この6頭が同じ空間にいることも初めてだったので、放飼する順番や組み合わせも工夫しました。

 メスが初めてライオン園に出たとき、オスと同じように一瞬戸惑っていましたが、放飼場内を見回った後はえさの牛骨を置いた台に登ったり、爪とぎをしたり、広い屋外放飼場を満喫していました。

 その後、放飼場に出す個体を毎週1頭ずつ増やし、現在8頭を対象に練習中です。ライオンバスの運行まではもう少し時間がかかりそうですが、放飼場にライオンが出ている姿をご覧になることができるかもしれません。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 泉こはる〕

(2020年11月20日)



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