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レッサーパンダ「フラン」と「リアン」誕生
 └─2020/09/25

 レッサーパンダのメス「ヒマワリ」は2020年2月3日に市川市動植物園から多摩動物公園に来園しました。オス「フランケン」との相手とした国内繁殖計画にもとづく移動です(こちらの記事をご覧ください)。

 レッサーパンダの繁殖期は年1回訪れ、多くは2月~3月に交尾します。ぎりぎりの移動となり、今年の繁殖はもしかしたら難しいかと思われましたが、園内外の関係者全員の努力の甲斐あって、移動によるストレスも少なく、ひまわりはよい状態でフランケンとお見合いさせることができました。2頭の相性はよく、2月17日と2月27日から29日の期間、来園早々交尾が確認されました。

 レッサーパンダには「着床遅延」という現象が知られています。受精後、着床まである程度の時間がかかる現象です。これまでの例から計算すると出産予定日は6月2日から8月15日の見込となり、初産のヒマワリが安心して出産できるよう、5月中旬から準備を進めていきました。

 7月21日朝、飼育舎に入るとかすかに子の鳴き声が聞こえました。物音を立てないよう最大限の注意を払いながら、まず監視カメラを確認したところ、子の姿が見えました。録画映像を確認し、7月20日の20:30から21:15の間に2頭が生まれたことがわかりました。

2020年8月12日、初めての身体検査。左:フラン 右:リアン

誕生直後の2頭(2020年7月20日)
生後3日目(2020年7月23日)

 ヒマワリは初産にも関わらず本当にじょうずに子育てをしています。出産直後はまだ目も開かず立つことも出来ない子を適度になめ、子が乳を探して動き出すと、自分の手や足で抱えるようにして、乳まで誘導して母乳を飲ませていました。

 そのおかげで2頭はすくすく成長し、8月12日に実施した初めての身体検査で2頭ともメスとわかりました。名前は母親のヒマワリに因み、ヒマワリ(花)の学名のヘリアンサスから「リアン」、父親のフランケンから「フラン」と名づけました。

最近の体重測定(2020年9月10日)。左:フラン 右:リアン

最近の体重測定(2020年9月10日)。左:フラン 右:リアン

 今では顔や尻尾の模様も現れ、体重は1㎏を超えました(9月10日現在)。動きも活発になり、産箱の中で互いにプロレス技をかけ合うようにしていたかと思うと、すやすやと眠る、そんな毎日を送っています。

 母親のヒマワリはそんな2頭に対して、心配し過ぎたり神経質になったりせず、ある程度自由にさせているようです。生後2か月は泌乳量が最大となる時期です。ヒマワリは体調もよいようで、体重も維持しており、毛艶もきれいです。

 子が産箱から顔を出し、外で遊ぶようになるころ、みなさんにお目にかかれるようになります。そのときにはまたお知らせします。どうぞ楽しみにお待ちください。

〔多摩動物公園南園飼育展示課 松井由希子〕

(2020年09月25日)



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