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アフリカゾウ「砥夢」の寝床とチーキの死亡
 └─2020/01/10

砥夢の寝床

 昨年(2019年)5月、多摩動物公園のゾウの寝姿についてお伝えました(記事はこちら)。今回は「砥夢」(トム)が横臥する(横になる)「寝床」についてお話しします。

 砥夢の横臥する場所は現在、放飼場の土山、小放飼場の土山、室内の土山の3か所です。ふだんは室内で寝ることが多いのですが、暖かい季節になると外で寝始め、気温が下がる冬には室内で寝るようになります。


横になる砥夢

 室内の寝床に使われる土山は毎日、外の土山は毎週休園日にショベルローダーで土を積みなおし、寝心地のよい状態をつくります。それは砥夢が一晩中横臥すると土がつぶれてかたくなってしまい、砥夢も寝にくくなるらしく、横臥する時間が短くなってしまうためです。

 今年の8月から夜間は室内と放飼場の出入りを自由にしてみました。初めは外で寝ることはありませんでしたが、9月26日に初めて放飼場の土山での横臥しているのを確認しました! 夜に外に出すことは砥夢にとって行動範囲が増えてよいのですが、扉が開いたままなので、気温が下がる11月頃には室内も寒くなり、横臥が減って立ったまま休む「まどろみ」の姿勢でいることが増えてしまいました。

 そこで、どのような形の土山が寒さを防ぎ、横臥しやすいのか、室内の土山の形を毎日変えて検討してみました。山を高くしてみる、平らに広くしてみる、横臥した砥夢を包みこむようにしてみるなど……。気に入らない土山は、翌朝確認すると、踏まれて見るも無残に壊されていました(写真左)。逆に、気に入った土山にはきれいに体の跡がついていました(写真右)。

無残に壊された土山
体の跡がきれいについた土山

 気温や気分に左右されるのか、どのような形の土山を気に入っているか、まだはっきりとはわかりません。今後も試行錯誤を続けていきます。動物園にいらっしゃったら、動物だけではなく、ぜひ放飼場にも注目してください。担当者の工夫を見つけられるかもしれません。動物の種類によっても飼育環境はさまざまです。きっと面白い発見ができるはずです!

チーキの死亡

 こちらでお知らせしたとおり、気温が下がってきた2019年11月26日、チーキが死亡しました。表情が豊かで、仲間思いのチーキの姿の姿は印象的でした。えさを丁寧に食べる姿もよく記憶に残っています。新人の私に対して最初は警戒していたものの、時間が経つにつれて少しずつ受け入れてくれるようになり、1年後にはトレーニングや治療もおこなえるようになりました。飼育担当として過ごした約2年、チーキから多くのことを学びました。あらためて感謝します。

チーキ

〔多摩動物公園北園飼育展示係 山本悠太〕

(2020年01月10日)


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