ニュース
ターキン「ハマ」の誕生とターキン舎のこの一年
 └─2019/12/20

 2019年7月16日、多摩動物公園でゴールデンターキンの「オーキ」がオスの子を出産しました。前日が「海の日」だったので、海にちなんだ名前がよいと思い、「ハマ」と名づけました。

 これまでに担当者が経験したターキンの出産時期は1月か2月でした。高山にくらすターキンは寒さにとても強い動物です。とはいえ、生まれたばかりの子にとって寒さは厳しく、しっかりするまでの最初の数日間は油断大敵ですが、今回は寒さの心配をせずにすみました。でも、7月生まれはハマが初めてです。

母親オーキとともに足を投げ出して寝るハマ(2019年9月4日)
岩を登るハマ(2019年9月29日)

 生後9日目の7月24日、ハマはオーキといっしょに初めて放飼場に出ました。その後、ほかのターキンたちともいっしょに放飼場で過ごしています。これまでのターキンの子は、放飼場にデビューが春先となり、ある程度大きくなるまで常に母親について行動していました。ところがハマは、暖かい季節のせいか、母と離れて過ごすようになるのが早かったように思います。また、放飼場で足を投げ出して寝ていることもありました。このような寝姿は、ほかの子では見られなかったので驚きました。

 生後144日目の12月6日、ハマの毛の間から角の先端が出ているのを初めて確認しました。最近はよく父の「テン」と角を突き合わせして力比べをしています。大きなテンを相手にするハマの子どもらしいしぐさの中にも、オスのたくましさが垣間見えるようになりました。

 ハマの誕生によってターキン舎はオス4頭、メス5頭の大所帯となりました。性別と年齢の組み合わせで、一頭一頭みんな違うターキンたちに出会えたことは、担当者にとって貴重な経験であり、ありがたいことです。


リニューアルされたターキン放飼場

 ターキンたちは放飼場で土留めの木に体や角をこすりつけるのが大好きです。あの大きな体で何頭もゴシゴシとこすりつけると、太い木でもだんだんとすり減っていきます。また、年中風雨にさらされるので、木の痛みが激しくなってきました。そのため、11月に2つの放飼場の整備工事を実施しました。土留めの木はすべて交換となりましたが、今まで使われていたような大木を何本も用意するのが難しいため、線路の枕木を新しい土留めとして使うことになりました。枕木には硬い樹種が使われており、防腐処理がされているのでとても丈夫です。また、ターキンの蹄のケアを考えて、歩くことで少しでも蹄が削れるように、コンクリート面を増やしました。その表面には竹ぼうきで筋を入れて、ザラザラに仕上げてもらいました。

 リニューアルされた放飼場で、今日もターキンたちは新しい土留めの枕木に、気持ちよさそうに体をこすりつけています。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 生井澤初枝〕

(2019年12月20日)


ページトップへ