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3か月連続のキリンの搬出
 └─2019/12/07

 多摩動物公園は国内でのキリンの繁殖をめざし、2019年9月26日は「ユルリ」(メス、2歳)を北海道のおびひろ動物園へ、10月23日に「ジュリー」(オス、3歳)を仙台市の八木山動物公園へ、11月14日に「ジュア」(オス、2歳)を姫路市の姫路セントラルパークへ搬出しました。3か月連続で3頭を各地へ送り出したことになります。


輸送箱に収まったジュリー

 搬出作業は性別や個性を考慮して慎重に進めます。まず、群れから離して、搬出準備の部屋に1頭で入れるよう慣らすのに2週間、次に部屋の入口に設置した輸送箱の中に落ち着いて留まれるよう練習を2週間行います。

慎重なユルリ

 最初はユルリです。キリンのメスはとても慎重なので、新しい環境に慣れるまで時間がかかります。ユルリも例外ではありませんでした。8月28日から始め、搬出用の運動場へは3日目、搬出準備の部屋には11日目に入りましたが、部屋の中に留まれない状態が続き、最終日である14日目にはえさで誘導して、なんとか1頭で部屋に入れることができました。
 15日目から箱の中に留まる練習を始めましたが、警戒してなかなか箱に入りません。えさで誘ったりしながら練習を繰り返し、24日目には箱に入って長時間いられるようになりました。
 30日目が搬出当日です。ユルリは変化に気づいて警戒しましたが、時間をかけて箱に誘導し、落ち着いたところで箱の扉を閉めました。

大胆なジュリー

 次はジュリーです。ユルリを搬出した日の午後から練習を開始しました。オスは警戒しながらも大胆です。開始から5分程度で運動場にも部屋にも入り、部屋に置いたえさを食べました。1日でユルリの14日分をクリアしてしまったのでその差に驚きました。
 13日目で部屋に分け、14日目から箱に入る練習です。開始から約20分で箱に入り始め、滞在時間も長く落ち着いていました。搬出当日もスムーズに移動してくれました。

誘導用のえさを工夫したジュア

 最後はジュアです。搬出予定日の都合で4週間の準備期間が確保できなかったので、部屋に慣らす期間を短くしました。ジュリーの搬出日の午後からさっそく開始。すぐに運動場と部屋に入ったものの、すぐ出て来てしまい、部屋の中で落ち着くようになるまで少し時間がかかりました。
 警戒心が強かったので部屋に分けられたのは8日目となりました。翌日から箱に入る練習を始めましたが、警戒心が強く箱に留まる時間が短いので、誘導のためのえさを枝葉からペレットに変えてみたところうまくいきました。搬出日当日もスムーズな移動ができました。

 3頭とも移動先の動物園でりっぱに成長し、次の世代を作ってくれることを期待しています。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 井上邦雄〕

(2019年12月07日)


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