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鳴く虫採集──新人飼育係奮闘記
 └─ 2019/09/14

 昆虫園本館1階では、9月5日から「秋の鳴く虫展」を開催しています。そこで展示する鳴く虫の採集に、今年4月採用の新人飼育係が挑みました。

 採集したのは低い草地に住む「シバスズ」「マダラスズ」というコオロギの仲間や、樹上で生活している「アオマツムシ」というマツムシの仲間です。


マダラスズ

 どの虫を採集する際にも用いたのが直径60㎝の大きな網です。シバスズ、マダラスズは、足で草をゆっくり踏みながら網のほうに追い込んで採集しました。
 どちらも体長1cmにも満たない小さな昆虫で地表に生息しているのですが、草丈に埋もれてしまい、先輩飼育係に「そこにいるよ」と教えてもらってもまったく気づきません。見つけてもピョンッとすばやく動くのですぐに見失ってしまい、目が慣れるまでなかなか捕まえられませんでした。しかし、目が慣れてくると足元で跳ねたシバスズやマダラスズを網にうまく追い込み、採集することができました。


足で追い込んで採集

 アオマツムシは網に加えて棒を使い、「ビーティング」で採集します。これは木の枝や葉を棒で叩いて、落ちてきた虫を下で待ち受けた網でキャッチするという方法です。かなり体力は消耗しますが、パッと見ただけではわからない昆虫を一網打尽に採集できます。
 しかし落ちてきた虫がすべて網に入るため、選別作業が必要になります。口の大きな網から昆虫に逃げられないようにするのに不慣れな私は苦労しました。


ビーティング

 今回の鳴く虫展は、このような身近に生息する鳴く虫を展示しています。普段の生活で声はよく耳にするけれど、その声の持ち主がどんな虫なのかわからない、という方も多いことでしょう。きっと鳴く虫展にいらっしゃったときには「あ!あの声だ!」と驚きや発見があるかと思います。

 最後に昆虫採集の注意を。草むらや樹上にはムカデやハチといった毒をもった生き物も生息しています。採集する際には肌をなるべく露出せず、自分の安全を確認しながらおこなってください。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 髙田瑞希〕

(2019年09月14日)


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