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サバンナの繁殖ラッシュ! モモイロペリカンとキリンたち
 └─ 2019/08/16

 今年4月30日にモモイロペリカンのひなが14年ぶりに2羽自然繁殖し、5月には11日、20日、26日と約2週間で3頭のキリンが誕生しました。

 ペリカンは約10年前にタンザニアから搬入された野生由来の個体と当園で自然繁殖した個体がペアとなる、理想的な組み合わせで合計3ペアが形成され、各ペアが2卵ずつ産卵しました。そのうち1ペアの卵は池に落ちたり割れたりしてなくなり、巣を放棄してしまいましたが、残る2ペアから3羽が孵化しました。1羽は衰弱して死亡してしまいましたが、両ペア1羽ずつ、初々しい両親の子育てのもとで50日齢前後に巣立ちをし、今ではひな自ら池に入ってえさを取るようになりました。
 巣台が池の上にあるため、ひなが落ちてしまわないか、巣立ったあとは園内に住む野生のタヌキなどに襲われてしまわないかと心配でなりませんでした。


ペリカン78日齢

 しかし、心配ばかりしていられません。今度はキリンが立て続けに3頭出産するという事態に! 一昨年、ユリネ、アミ、ユリアという母親が1か月おきに出産しましたが、今回母親になったのも同じ3頭でした。

 当初、行動記録にもとづいて3頭が約1か月の間に出産するだろうと見込んでいました。キリンの妊娠期間は約450日ですが、データ上30日前後ずれることは珍しくありません。その結果、予定日が一番遅いと見込んでいたユリネが産室に入る前に放飼場で産んでしまい、私が出勤した頃には、すでに子ども(ユン)は母親と一緒に歩いていました。このユリネ親子を群れとは別の部屋に隔離し、一番早いと見込んでいた予定日のアミは産室に隔離していたため、もはや他に分けられる部屋はありません。これでユリアが出産したら……とおそれていたことが見事に的中し、ユリネ同様、朝出勤したら子ども(ジン)が放飼場を歩いているという同じ事態に……。

 やむなくユリア親子とユリネ親子を同居させましたが、母親どうしの折り合いが悪く、子どもの成長に支障をきたすと判断してユリネ親子は群れに入れることにしました。ユンは生後11日目という幼さで群れ入りしましたが、臆することなく日に日に成長する姿はとても頼もしく感じられました。その後、アミも順調に出産しました(子は「アン」)。今では3頭の子どもがそろって群れの中で過ごしています。


左からジン、アン、ユン。そして2018年生まれのユリカ

 ペリカン親子は漁の仕方を教えるかのように池を一緒に泳ぎ、キリンは子どもどうしで過ごしながら、時には走ったりして、水陸賑やかな動きを見られるのは今だけです。お見逃しなく!

〔多摩動物公園北園飼育展示係 清水 勲〕

(2019年08月16日)


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