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アカカンガルーは「出袋」ラッシュ!
 └─2019/06/21

 多摩動物公園では今年(2019年)5頭のアカカンガルーが生まれ、春の「出袋」(しゅったい)ラッシュとなりました。

 アカカンガルーは妊娠期間が約30日と短く、とても未熟な状態で生まれます。その大きさは体長約2センチ、重さは約1グラム、たとえるなら1円玉と同じくらいの大きさです。生まれてすぐ自力で母親の袋の外側をよじのぼり、袋の中に入って約6か月を過ごします。生まれた直後の子どもようすを動画でとらえました。


【動画】生まれたばかりの子どもは自分で母親の体をよじのぼり、袋の中に入る。乳首も袋の中にある。
(2019年6月18日撮影)

 生後7~8か月になると袋から出たり入ったりを繰り返すようになります。母親の袋から子どもの全身が出ることを「出袋」といい、多摩動物公園では飼育係が初めて出袋を確認した日を誕生日として記録しています。

 出袋した5頭のうち2頭はすでに母親から離れて行動していますが、母親からミルクをもらうために、ときどき親子がいっしょにいるところも見ることができます。


左:生後約5か月の頃、右:生後7〜8か月頃になると、子どもは母親の袋から出たり入ったりを繰り返します

 夕方4時ごろになると、お腹をすかせたカンガルーたちはえさがある部屋をめざして、階段を跳びながら次々と帰っていきます。

 そんな中、出袋したばかりの子どもは帰り道がわからず放飼場に取り残されてしまうことがあります。子どもは咳をするような「カカカッ」という鳴き声でお母さんを呼ぶのですが、わが子より目の前のおいしいえさに夢中になってしまうお母さんも……。

 ある日、放飼場に1頭の子どもが残されていました。母親が迎えにくるのを期待してカメラをかまえて待っていたところ、母「ソレル」がわが子の鳴き声にいち早く気づいて迎えに来ました。親子は再会を果たし、ソレルは子どもが袋に入ったのを確認すると、部屋へと帰っていきました。


【動画】放飼場に取り残された子どもと母親。無事に再会できました

 今袋に入っている子カンガルーたちも、これから袋の外で過ごす時間がだんだん長くなります。袋から顔を出している子、外で元気に跳びまわる子を同時に観察できるこの機会に、ぜひアカカンガルーの成長過程を実際に見くらべてください。そして、放飼場でのんびりとくつろぐカンガルーたちの姿を、いっしょにくつろぎながら観察してみてはいかがでしょうか。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 星純蘭〕

(2019年06月21日)


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