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チーターの五つ子と扉の向こう側の世界
 └─2019/02/08

 昨年(2018年)10月31日、多摩動物公園でチーターの五つ子が生まれました。母親「デュラ」は初産なので少し心配な部分もありましたが、神経質な性格がかえって功を奏したのか、子どもたちをていねいに育てています。この子どもたちが「ガラス放飼場」(ガラス窓で囲まれた放飼場)にデビューするまでのいきさつをご紹介します。


扉の外で日光浴

 子どもたちが初めて外の世界を目にしたのは生後1か月の頃です。骨形成にとても重要な日光浴をさせるため、室内から放飼場に出る扉の外に箱を設置しました。警戒した母親デュラは箱からいちばん遠い部屋の隅に行って、そこから子どもとたちを呼び集めていましたが、そんな心配をものともせず、子どもたちは外の世界に興味津々。

 30分もすると子は箱に入るようになり、数日後にはデュラの警戒も薄れ、むしろ箱から放飼場に出て子どもたちを呼ぶようになりました。こうなれば、外に出してひとまず安心です。そこで12月8日、裏の非公開の放飼場に放しました。


非公開放飼場に初めて出た日

 部屋の中でも追いかけっこをするなど、日に日に活発になっていく子どもたち。デュラに与えた馬肉を横から食べに行ったり、鶏頭を一生懸命かじったり、徐々に赤ちゃんから子どもへと成長しています。

 多摩動物公園のチーターは生後6~8週の頃に初めてのワクチンを接種します。ワクチン接種は、本格的に展示するにあたって感染症からチーターを守る大切な処置です。デュラの子どもたちも12月19日にワクチンを接種し、ようやくガラス放飼場に出る準備が整いました。公開日も決まったので、放飼場に出る練習をおこないます。


ガラス放飼場での子どもたち

 初めてガラス放飼場に出た日、デュラは勢いよく飛び出していきましたが、子どもたちは初めてのことに驚き、おそるおそる部屋から出てきました。それでも子どもの適応力は早く、すぐに慣れて遊び始め、2〜3日後には岩や木に登ったり、走り回ったりしていました。

 ついに迎えた公開日の2019年1月2日。部屋から出るときは勢いよく飛び出していきましたが、いつもと違う人の数に驚いたのか、なかなかガラスの近くに行こうとせず、離れた場所で遊んでいました。それも数日経てば慣れ、来園者の目の前で元気いっぱいな姿を見せてくれています。

 子どもたちが放飼場にデビューしてから早2か月。子どもたちにとって、扉の内側は安心できる世界であり、扉の向こう側にも楽しい世界が広がっていると感じられるよう、工夫を重ねています。5頭が目一杯楽しんでいる姿を見にぜひ多摩動物公園までお越しください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 泉こはる〕

(2018年02月08日)


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