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シフゾウ「アオバ」の“迷惑行為”
 └─2018/12/28

 多摩動物公園のシフゾウのオスは、毎年春先に成長中の「袋角」が破れて角が現れ、その後、夏から秋の繁殖期にかけて、自分の力を周囲に誇示するかのように、放飼場の地面に角を突き立てては掘り返すという行動が頻繁に見られるようになります。

 その結果、この時期は地面のいたるところがデコボコになり、掃除のときにフンなどを掃き集めづらくなってしまいます。場所によっては、1頭でこれを角で掘り返したのかと驚くほどの大きな窪地ができることもあります。大きくて深いこの窪地は即席の池としても利用できたので、今年の夏の猛暑対策に役立ちました。

 例年繁殖期が終わるとシフゾウの行動も落ち着き、地面の掘り返しもだんだん掘り返さなくなるのですが、今年の「アオバ」は何かが違いました。


シフゾウの「アオバ」

 秋になって落ち葉が増え始める頃、放飼場はまだ落ち葉を容易に掃き集めることができる状態でした。アオバと2頭のメスたちも秋の暖かな日差しの中、のんびりと過ごしている姿が見られました。しかし、秋から冬になる頃、アオバがふたたび放飼場の地面を角で掘り返し始めたのです。

 繁殖期の血走った目や頻尿は見られず、えさを食べなくなることもないのですが、ただ地面を角で掘り返しています。一時的な行動かと思われたのですが、12月に入った今も、地面に角を突き立て、渾身の力で前進し掘り返しています。

 これから冬本番になると、シフゾウ舎の放飼場は例年気温の低下によって地面が凍結したり、雪が積もってずっとぬかるむ状態になってしまいます。そんな時期を迎えようとしている今、アオバの掘り返し行動については本当に困ってしまいます。

 しかし、こんなアオバの行動もまもなく終わりを迎えるはずです。角が落ちてしまうからです。私がシフゾウの担当になって3年、年末年始の頃には左右2本とも落ちていました。毎年角が落ちてしまうと、あれほど威張っていたアオバも急におとなしくなり、かわいらしい何か別の動物(?)に見えます。この記事が掲載される頃、アオバには角はなくなっているでしょう。

〔多摩動物公園南園飼育展示係  横田利明〕

(2018年12月28日)


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