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シマウマの削蹄
 └─2018/09/07

 きれいなネイルをするために爪を少し伸ばす方や、反対にいつも短くしている方など、爪の手入れは人それぞれだと思いますが、どれくらいの頻度で爪切りをしていますか? 人間以外の場合、自分で爪とぎをする動物もいますし、歩き回ると自然に爪が削れるので爪切りの必要がない動物もいます。

 ただし、動物園では運動不足などによって爪が伸びてしまうと、爪切りが必要になる場合があります。グレビーシマウマもその一種。今回はその爪切り(削蹄:さくてい)についてご紹介します。

 現在、多摩動物公園には2頭のグレビーシマウマがいます。昨年(2017年)まではアフリカ園でキリンやシロオリックスとくらしていたのですが、運動場には硬い火山礫がしきつめられていて、面積は約5,000平方メートルもあり、一日中動き回ることができました。また、寝小屋と運動場の間にはコンクリートの長い通路があり、毎日往復する事で蹄がほどよく削れていました。

 ところが昨年、工事のためにアフリカ園から一時的に引っ越しをすることになりました。現在の場所は狭いため運動量が減り、しかも運動場は軟らかい砂地なのでシマウマの蹄が削れず、伸び具合が目立ってきました。

グレビーシマウマに麻酔をかけ削蹄作業をおこなう
装蹄師による削蹄

 蹄が伸びすぎると変形し、歩行に問題が生じたり、蹄の病気の原因にもなります。400キロもある体重を支える大切な四肢に負担をかけないためには「削蹄」が必要でした。とはいっても、私たちがおこなう爪切りとは違い、大きな体のシマウマの削蹄は、全身麻酔で眠らせている間におこなうため大がかりです。

 まず、吹き矢でシマウマのお尻に麻酔を打ち、眠るのを待ちます。薬はほんの数分で効き始め、シマウマはフラフラしながら横になりました。完全に薬が効くまでさらに数分。シマウマは全身の力を失い、しっぽを引っ張ったり体に触れたりしてみても反応が見られなくなります。

 削蹄は専門の装蹄師の方が、専用の道具を使って切ったり削ったりしていきます。1本の蹄にかかる時間は10分ほどですが、ふだんは競争馬などを専門にしている装蹄師さんは、大きなシマウマを相手に汗びっしょりでした。


削蹄の前と後 下が削蹄前の左前肢、上が削蹄後の右前肢

 削蹄が終わると、まだ麻酔が効いているあいだに、シマウマの口腔内チェックや体重測定など、ふだんできない検査もおこないました。その後、麻酔からさめるたシマウマはすぐ立ち上がり、軽快な足取りで歩行し始めたので、私たち担当者や獣医師もひと安心しました。

 アフリカ園に戻るのは数年先です。今後は定期的な削蹄が必要になるかもしれません。現在の場所で元気よく快適に過ごせるよう、日々の観察をしっかりしていきます。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 齊藤美和〕

(2018年09月07日)


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