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アフリカゾウ「アイ」と「マオ」は今
 └─2018/06/15

 多摩動物公園では今、アフリカゾウを3頭飼育展示しています。ごぞんじの方も多いと思いますが、ほかにも「アイ」とその子「マオ」がいますが、現在繁殖を目的とした貸与契約(ブリーディングローン:BL)により、アイは広島市安佐動物公園、マオは盛岡市動物公園で飼育されています。2頭の近況をお伝えします。

アイ(推定36歳。2011年11月17日に広島へ移動)

 アイは広島で「タカ」(オス、27歳)とくらしています。タカは、アイが育った姫路セントラルパークで生まれ、小さい頃アイとよく遊んでいたそうです。お互いを憶えていたかはわかりませんが、同居させた時も大きなトラブルはなく、現在にいたっています。

 繁殖を目指し、ふだんはお互いが見える状態で別々のスペースで飼育していますが、発情時期などをしっかりモニターし、アイの発情ピークを予測したうえでオスと同居させています。


左がタカ、右がアイ

 アフリカゾウのおとなのオスは、大変攻撃的になる時期があり、その時期や状態を「マスト」と呼んでいます。繁殖行動に深く関わると言われるマスト期には、交尾行動が何度も観察されています。今年(2018年)2月、初めて非マスト期にも交尾行動が見られたようです(妊娠にはいたっていません)。

 アイは少しお腹が弱い個体で、ときどきお腹が張ったりするので、投薬や腹部マッサージなどをしてもらっているようです。一昨年ようすを見に行きましたが、多摩にいた頃と変わらず元気に動き回り、子どものような姿を見せてくれました。

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マオ(16歳、2006年6月13日盛岡へ移動)

 マオが盛岡に移動してもう12年が経ちました。移動当初は4歳でかわいい盛りでしたが、8歳になる頃には発情が確認されました。

 ふだんは「たろう」(オス、推定28歳)といっしょに放飼場でなかよく過ごしていますが、アイと同様、マオも発情をモニターし、発情スケジュールを確認し、2頭をいったん別々にしたあとで、発情のピークに合わせてふたたび同居させるなど、繁殖につながるためのくふうをしています。


左がマオ、右がたろう

 マオは過去6回、交尾が確認されています(妊娠にはいたっていません)。オスの繁殖行動が増えると言われるマストがしっかり来るように、盛岡ではオスの体調を管理しています。その結果、2年連続でマストが来ているようです。

 あの小さかったマオは体重3,700キロにもなり、立派なおとなのメスに成長しています。健康もしっかり管理され、元気に過ごしています 

 私たちは、アイお母さんの3頭目の繁殖を期待するとともに、娘マオが国内生まれのアフリカゾウとして初めての繁殖に成功するよう心待ちにしています。そのためにも、まずは2頭とも元気でいてくれることを願っています。

※マストとは:解明されていない現象ですが、繁殖行動に深く関わっていると言われています。おとなのオスの場合、ふだんは観察されない側頭腺からの分泌液が見られ、頻尿も生じます。個体によっては行動や体調に変化が生じます。

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 アフリカゾウ「マオ」輸送大作戦(2)(2006年6月16日)

〔多摩動物公園北園飼育展示係2班〕

(2018年06月15日)


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