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アフリカゾウ「砥夢」、もうすぐ9歳です
 └─2018/03/16

 3月17日はアフリカゾウのオス「砥夢」の誕生日です。2009年に愛媛県立とべ動物園で生まれ、今年で9歳になります。ここ東京ズーネットの記事でもたびたび登場していますが、今回は誕生日を迎える砥夢の近況をお伝えします。

一足早いプレゼント。リンゴやオレンジで文字を書きました
奥にいるのが砥夢

 2012年の来園当初、同居した「チーキ」(メス、現在42歳)の子どもかと思うほど小さかった砥夢ですが、今やうっかりするとチーキと間違えるほど。背中の高さではすでにチーキを追い越しており、見た目だけなら大人のゾウと間違える人もいるかもしれません。

 しかし、ゾウの9歳は子どもから少年になるくらい、大人の少し手前という感じです。背はひょろっと高くなっても、手足は細く、骨格も華奢。顔つきは大人びてきたものの、行動や仕草も子どもっぽさが残っています。

 大きくなっても心は子どもでのようで、えさを横取りしようとしてチーキに怒られると、大きな声を出して逃げ出します。本気になって力を出せばチーキと互角に渡り合えそうですが、そんな気持ちはまだないようです。そのくせ怒られてもすぐにまたチーキに近寄っていったり、謝るようにお尻からすり寄っていったり、懲りないというか無邪気というか、チーキの機嫌を損ねないようにしているようにも見えてしまいます。

 今年の冬は多摩でも久しぶりの大雪になりました。雪の降った当日、ゾウたちを運動場に出せませんでしたが、翌日からなるべく雪をかき、運動場に出しました。砥夢も雪は経験ずみ。今までは寒いのが苦手で出たがらず、しぶしぶ出ても雪の上は歩くことはなく、雪をかいたところだけにいたものですが、今年は少し違いました。2日目には早くも雪の上に足跡を残して歩くようになったのです。これも砥夢のちょっとした成長かもしれません。

高いところに設置したヘイネット(えさを入れた網状の給餌器)にも軽々と届くようになりました
左牙が折れてしまいました

 こんな状況をお伝えしたような矢先、先月の2月28日深夜のこと、砥夢が室内で左の牙を折ってしまいました。さらに3月2日、牙に入ったヒビからさらに折れ、結果的に60センチほど短くなってしまいました。部屋の中で壁や柵に牙をぶつけているうちに折れてしまったようです。出血も見られましたが、さいわい砥夢はトレーニング用の柵を使った治療に協力的で、獣医師とともに治療を進めています。

 牙の完治には時間が必要なので、長期的な取り組みになりますが、ふたたび立派な牙が伸びるよう、ケアをしていきます。いずれは日本のアフリカゾウを支える存在になるはずの砥夢。立派なオスゾウに育つよう、慎重に取り組んでいこうと思います。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 木崎恒男〕

(2018年03月16日)


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