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ターキン舎の1月、出会いと旅立ち──ナズナの誕生とメイの出発
 └─2018/03/02

 近年にない極寒が続いた今冬、ターキン舎では大きなできごとが2つありました。


ナズナ(2018年1月11日撮影)

 1つ目は2018年1月10日、「ホイ」がメスの子を出産したことです。父親は「テン」です。当日朝一番のあいさつしをたとき、ホイはいつもと変わらず落ち着いたようすでした。そこでいつもの作業に取りかかり、放飼場にターキンたちの朝食を置いて、準備が完了したところでホイの寝室をのぞくと、なんとそこには生まれたばかりの子がいたのです! その間わずか30分ほどでした。私は自分の目を疑いました。ついさっきまで、ホイは何ごともないようなようすだったのですから。

 春の七草にちなんで、子は「ナズナ」と名づけました。放飼場では岩面を登り降りするのが大好きで、足がかりになるわずかな突起を見つけては、ヒョイヒョイと登ります。

 ナズナの性格にはマイペースな面があるようで、寝室と放飼場を移動する際、母親のホイが先に行っても、すぐにはついて行かないことがあります。また、子どもは何か異変を感じると母親の体の下にすぐ隠れることが多いのですが、ナズナはあまり隠れません。また、小さな子どもは座っているおとなの背中によく乗るのですが、ナズナがこの行動をするところをほとんど見ていません。


母親ホイとナズナ(2018年1月31日撮影)


岩壁の上のナズナ(2018年2月28日撮影)

 ターキンの子どもは生まれながらにして豊かな個性をもっています。ナズナもしかり。とても興味深いです。ちなみに昨年生まれの兄「ムツ」は誕生直後からよく鳴いていました。同じく昨年生まれの「オーキ」の子「フク」は臆病でおとなしい面があります。そして、フクの姉の「メイ」は好奇心旺盛でとても積極的です。


メイ(2017年12月27日撮影)

 そのメイですが、1月21日によこはま動物園ズーラシアへ移動しました。これが2つ目のできごとです。輸送箱に慣れてもらうため、事前に裏の放飼場に輸送箱を設置しました。積極的な性格のメイらしく、初めて見た箱の中にもすぐ入りました。

 移動当日も、メイは無事にズーラシアへ出発することができました。これまで放飼場でメイといっしょに過ごし、大のなかよしだった妹のフクは、メイがいないのを翌日こそ不思議に感じていたようすでしたが、すぐにいつも通りの生活に戻りました。

 仲間と離れてもそれまでと変わらず生きていく動物たち。きびしい野生でくらす動物たちのたくましさに思いを馳せました。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 生井澤初枝〕

(2018年03月02日)


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