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ライオン園「仮設放飼場」の今
 └─ 2018/02/03

 多摩動物公園ではライオンバス発着場の整備工事を進めています(お知らせ)。そのため、ライオンたちは2017年3月9日からライオンの公開を中止し、5月に「仮設放飼場」で公開を再開しました。

 5月10日の休園日、まずメス5頭、メス3頭の組み合わせ、そしてオス3頭の組み合わせを交代させながら放飼場に出しました。個体によっては、久しぶりの放飼場を確認のために動き回ったりしていましたが、ほどなく全頭が落ち着き、リラックスするようすを観察できました。翌日からはもう、何年も使用しているかのごとく、外に出るとすぐにリラックスしていました。


2017年5月下旬の仮設放飼場

 写真を見ると土の露出した部分があります。ここには雑草がたくさん生えていたのですが、久しぶりだったためか、ライオンたちはまるでサラダバーに群がるごとく、積極的に、食べるようすが観察されました。

 また、仮設放飼場を使い始めたとたんに一部の植物が枯れ始めました。おそらく高濃度な尿によるものだと思われます。このままだと、地面が露出して殺風景になってしまうかもしれないと心配したのですが、その後、尿に耐えられる種類だけが残り、植物相が変化していきました。どのような植物の耐性が高いのかまではわかりませんが、興味深いできごとでした。

 仮設放飼場は風通しが悪く、夏には高温になることが予想されたため、何らかの対策が必要でした。まずはミストシャワーを設置しました。風が強い日にはミストが流れてしまうのですが、そんな日は体感温度もある程度低くなるので、無風の日には有効です。

 また、井の頭のアジアゾウの「はな子」の寝室で暖房温風の攪拌に使用していたサーキュレーターを譲り受け、ジープ用車庫の出入口から、橋の下の涼しい空気を送り込むことにしました。

 さらに、設置が9月になってしまいましたが、動物園サポーターの方々からいただいた寄付金を利用して、日よけ雨よけ用の「屋根」も完成し、今年はさらに快適になるはずです。

 年末からメス7頭の組み合わせで放飼できるようお見合いを進めました。現在午前中は、組み合わせを日替わりにしながら「7頭の群れ」が仮設放飼場に出ています。

 ライオン園の再オープンまでまだまだ時間がかかる見込みですが、安定した飼育管理を続けていきます。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 髙橋孝太郎〕

(2018年02月03日)


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