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モウコノウマの「ザルツァ」親子
 └─2017/06/23

 2017年4月10日にザルツァ(メス)がオスの仔を1頭産みました。飼育係が朝出勤すると既に仔を出産していました。仔は弱々しい脚で立ち上がっていましたが、瞼は閉じたままでした。

 ザルツァはオーストリアのザルツブルグ動物園生まれの9歳で、2013年3月7日に多摩動物公園にやって来ました。今回の仔はザルツァにとっては第3仔目となります。第1仔目はメスで2014年3月30日に産まれましたが、残念ながら翌日に死亡しています。第2仔目は2015年6月19日に産まれ、このメスの仔は「イルムーン」と名付けられ、今も元気に過ごしています。
 今回の仔は、よく走ることから「走れメロス」より「メロス」と名付けました。名のとおり、走るのが速く、よく走り回っています。

パドックのザルツァとメロス
(撮影日:2017年4月24日)
放飼場のザルツァとメロス
(撮影日:2017年5月10日)

 ザルツァは第3仔目ということもあり、落ち着いて子育てをしています。放任主義なところがあり、えさを食べ始めるとメロスが離れて行ってしまっても気にすることなく、そのまま自由にさせています。嫌いな「フルール」(メス)がメロスに近づいていても気にせずに食べ続けています。しかし、えさを食べていないときにフルールがメロスに近づくと、それは許さず、直ぐに近づいてきたフルールにお尻を向けて、後ろ蹴りを連発しています。フルールも負けじと後ろ蹴りで応戦しますが、闘争が激しくなってくると、メロスは猛ダッシュで走り回り、危険を回避しています。このときのメロスの走るスピードはとても速く、ザルツァが追いつけないことも時々あります。また興奮すると子鹿のように飛び跳ねて、まるで踊っているようです。
 メロスは去年生まれの「ジャスミン」(メス)のことが好きなようで、よく一緒にいるところが見られます。ザルツァもそれがわかっているようで、ジャスミンとその母親の「パーニャ」(メス)とは一緒にえさを食べています。

 メロスはONとOFFの切り替えがはっきりしており、走り回っていたかと思うと地面に座り込み眠っています。熟睡状態になると完全に横になり寝てしまいます。寝る子は育つと言いますから、このまま元気に成長してくれることを祈るばかりです。

走るメロス
休むメロス

 メロスが入って騒がしくなっているモウコノウマの群れをぜひ見に来てください。メロスは群れの中で一番小さいので、よくわかると思います。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 下重法子〕

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