2017年の酉年にちなみ、多摩動物公園のサバンナでくらすモモイロペリカンの近況をお伝えします。
サバンナにいるモモイロペリカンは12羽(オス7羽、メス5羽)。2016年10月中旬から食欲が増し、頭の上の飾り羽が長く伸びるなど、繁殖期の特徴が現れました。えさは1日1回午後2時頃にアジを与えていますが、夏は1羽につき1キロを目安にしていたのに、食欲旺盛になった今では1羽につき2キロに増えました。
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ふだんの姿 | 繁殖期を迎え、飾り羽が伸びる |
また、白かった羽毛は名前の通りモモイロに色づき始めました。3月頃繁殖期のピークに入るので、今後アジに加えてフナなどの生き餌も与え、繁殖をうながします。
昨年は1月下旬からペリカンどうしのつつき合いが見られるようになり、くちばしの下ののど袋に傷のある個体が現れ始めました。2月になると、ペリカンたちは巣作りに適した場所を探し求め、集団またはペアになってサバンナの大放飼場内を歩きまわる動きが目立ちました。
そして3月、お気に入りの場所が決まると、巣材となる落ち葉や火山礫を口いっぱいに入れて運びます。口の中や胸のあたりが泥だらけになるのもこの時期の特徴です。そして4月にはペリカン池の南側にある一角で営巣行動が見られ、交尾行動に続いて3年振りの産卵を確認しました。
営巣場所は来園者から丸見えで、狭くて居心地がよいようには見えませんが、ペリカンにとっては落ち着く場所のようです。ただし、私たち飼育係が近づくと警戒するため、近くで観察できないのが難点でした。この時期は、大放飼場を掃除するときも、ペリカンを刺激しないよう、池にそーっと近づいたり、とても気を使いました。こうしてひなが孵るのを心待ちにしていたのですが、昨年は残念ながら孵化にはいたりませんでした。
なかなか思い通りにならないペリカンの繁殖ですが、今年は班員一同、例年になく期待をしています。なぜなら、今年は昨年に比べ、採食量や身体の変化など、繁殖期の兆候がはっきり見られるからです。今後、ペリカンが巣で落ちついて産卵し、子育てができる環境を整えていきます。
2017年が勢いのよい一年となりますよう。モモイロペリカンの群れがにぎやかになることを祈りつつ。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 齊藤美和〕
(2017年01月06日)