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アフリカゾウ「砥夢」の成長と変化
 └─2016/12/16

 今年(2016年)の夏も昨年と同じ方法(ニュース)で、7歳になったアフリカゾウの「砥夢」(トム)の体重を量りました。ゾウは成獣になるまで1日1キロ体重が増えると言われています。

トレーニングによって体重計測もスムーズにおこなえる
体重測定中

 昨年8月3日の計測時の砥夢の体重は2,300キロでした。ほぼ1年ぶりの8月13日に計ってみると、なんと!1日1キロのペースを超えて2,700キロでした。400キロの増加です! いっしょに過ごすメスの「チーキ」(推定40歳)と背丈や足の長さも変わらなく見えるくらい大きくなっています。


チーキ(左)と変わらないほどの大きさに成長した砥夢

 しかし、成長を喜んでばかりもいられません。砥夢は強く立派なオスになるべく、行動も変化しています。最近では気に入らないことがあったり、自分の前を係員が通り過ぎたりすると、激しく牙で柵を突いたり、壁や扉を突くことが増えました。

 この行動は、PCウォール(Protected Contact Wall:文字通り、飼育係の安全を確保しながら柵越しに接するための柵)を使ったトレーニング中も見られるようになり、砥夢に対する接し方も考えないと大変危険であると判断しました。

砥夢の右の牙を処置中
左の牙の穴の終端
牙に生じたヒビと穴(歯髄腔)

 砥夢の牙を処置するときも狭い柵のあいだでおこなっているため危険と判断し、中止しました。これまでカバーをかぶせて保護してきた甲斐もあり、牙は太く立派に伸びています。以前心配された亀裂もなくなり、すっきりした牙でよく遊んでいます。


最近の砥夢

 ただし、砥夢に対して何もしないというわけではなく、PCウォールによるトレーニングは続けています。PCウォールを正しく使えば、砥夢がたとえ目の前で暴れてもほとんど危険はないので、安心して付き合えます。

 一方、トレーニング時以外はあまり声をかけず、近くを通るときも刺激しないよう静かに通り過ぎるようにしてみました。こうして無用な刺激がなくなったことで「大人」の落ち着きが身に付くよう、将来のことも考え、人に対する危険な行動を少なくしていくための試みを始めています。

 これからも砥夢の成長を見守りながら、飼育係とのよりよい関係を築いていきたいと思います。

・関連ニュース
アフリカゾウ『砥夢』のトレーニング」(2013年11月4日)
アフリカゾウの部屋替え」(2014年1月17日)
アフリカゾウ『砥夢』の牙を切りました」(2014年7月11日)

〔多摩動物公園北園飼育展示係2班〕

(2016年12月16日)


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