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アジアゾウの引越し準備進行中
 └─2016/03/04

 昨年(2015年)末にお知らせした通り、多摩動物公園では2016年3月末までアジアゾウの展示を中止しています。建設中の新しいアジアゾウ舎にゾウを引越しさせる「準備のための工事」をおこなっているためです。

 今のアジアゾウ舎から、数年後に完成予定の新アジアゾウ舎までそれほど距離はありません。しかし引越しはゾウを歩かせるわけではなく、大きな輸送箱に入れてトラックで運びます。今回の工事では「ゾウを入れる輸送箱の設置」と「ゾウを箱に入れるトレーニングのための壁の設置」を進めています。

 引越しはまだ先ですが、引越し直前に箱を置いてもゾウがスムーズに入ってくれるとは限りません。人が力任せにゾウを押して入れることもできませんし、またたとえゾウがすんなり箱に入ったとしても、十分に慣れていなければ思わぬ事故が起こる可能性もあります。そこで「ゾウも人も安全に」引っ越し作業ができるよう、時間をかけて輸送箱に慣らしていく必要があります。


写真1:輸送箱を置くための基礎工事

 この記事を書いている2月現在、まだ輸送箱はありません。箱を置く基礎ができたところです。動物を運ぶための輸送箱は動物の大きさや力の強さに合わせて作られるので、当然ゾウの輸送箱は大きく頑丈なものになり、それだけの箱を安定して設置するには、しっかりとした基礎が必要です。


写真2:ゾウと人の空間を仕切るための壁を工事中。ここで輸送箱に入れるトレーニングをおこなう

 多摩動物公園ではゾウと人が同じスペースに入らない飼育方法(準間接飼育)を採用しているので、ゾウと人の間を仕切るための壁も設置します。写真2の左側を人のスペース、右側をゾウのスペースとして利用し、ここでゾウを輸送箱に入れるトレーニングをおこないます。

 右側のゾウのスペースはゾウの運動場に続いています。ゾウが運動場へ出ているあいだ、ときおりトレーニングをおこない、箱に慣れさせていきます。なお、人の安全を確保するために、この壁はゾウがぶつかっても壊れないよう非常に頑丈に作られています。

 最初にお伝えしたとおり、工事は2016年3月末までの予定です。展示中止によりご迷惑をおかけしますが、どうかご理解ください。そして暖かくなる4月以降、本格的な引越しの準備が始まったアジアゾウ舎をぜひごらんください。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 伊藤達也〕

(2016年03月04日)


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