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動物園の台所「餌場」
 └─2016/02/19

 多摩動物公園のウォッチングセンター2階には、餌の準備をする調理場、通称「餌場」(えさば)があります。ここには園内で使われている餌の大部分が保管されています。動物舎によってはそれぞれ専用の調理場がありますが、ここが園内で一番大きな調理場です。


調理場(通称「餌場」)

 餌場には毎日 200キロを超える青果類が用意され、大きな冷蔵庫・冷凍庫の中には魚類・肉類が並びます。担当者は毎日それらの材料を決まった数量分計り、青果類はトントンとリズミカルな音を立てて切っていきます。みるみるうちに刻まれていく野菜や果物……飼育係の包丁さばきは見事です。

 飼育係は担当動物の体の大きさ、体調などに合わせて餌の大きさ、切り方を調節します。まさに日々の観察が活かされる場面です。また先月の積雪の際は道が雪でふさがれたなか、動物たちに餌を届けようと苦労して運搬している担当者の姿を目にし、動物たちへの強い想いを感じました。


重さ30キロの牧乾草(靴の大きさと比べてください)

 上の写真は草食獣が主食とする牧乾草です。動物園で動物が食べているところを目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。一塊で約30キロもある牧乾草は専門の業者に各動物舎へ運んでもらいます。

 じつはこの運搬作業は休園日におこなうことが多いのです。動物園の休園日はなにをしているのだろうと思われる方もいらっしゃると思いますが、飼料に関する仕事は休園日がもっとも忙しいのです。大きな牧乾草や重たい固型飼料などは大きなトラックで運ぶため、お客さんのいない休園日に作業をすることが多いのです。

 年末年始や大型連休、悪天候の日でさえも餌は欠かすことができません。私たちは餌を納入する業者と相談を重ね、しっかりと計画を練り、そのような場面を乗り越えます。先ほども触れた先月の雪の際、「餌は届くのだろうか…」と正直ひやひやしましたが、無事予定していた全ての餌が届き、一安心しました。動物園の毎日は、多くの方々との連携によって成り立っていると感じる瞬間でもありました。

 今回は動物園での餌に関するお話を少しご紹介しました。みなさんがふだん目にしている動物たちの餌には担当者の苦労や工夫など、隠れた物語が詰まっています。ぜひ動物たちの餌にも注目してみてください。

〔多摩動物公園調整係 比留間麻海〕

(2016年02月19日)


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