ニュース
コウノトリのクリスマスイブ──全頭捕獲
 └─2016/02/05

 「コウノトリの繁殖への取り組み」(2015年10月16日)の記事でお伝えしたとおり、春から秋にかけてコウノトリの子育てがおこなわれ、成長したひなたちをモウコノウマ舎上の「ストックエリア」に移しました。そのストックエリアで昨年(2015年)末、コウノトリとナベコウの全羽捕獲を実施しました。

 動物園は休園日に開園日にできないさまざまな作業をおこないます。とくに秋は気候もよく、動物の健康管理や個体管理のため、群れ飼育をしている動物舎では全頭捕獲をおこないます。数少ない休園日をみんなで調整していくのですが、防災訓練や飼育の勉強会等も入り、ようやくコウノトリの予定を入れられた休園日はクリスマスイブでした。


 捕獲当日、ケージを約半分に仕切るように幕を張り、一方にコウノトリたちを移動させてから、群れを小分けにして追い込み、数羽ずつ捕獲していきました。コウノトリのくちばしは鋭く、人に対して攻撃するときは目を狙ってきて危険なので、2人以上で1羽を捕獲するようにしました。

 飛び上がった鳥が網にかかってケガをしないよう屋根の上から助ける係、仕切り幕の前で鳥が幕をすり抜けないように見張る係、記録係等、大勢のスタッフにさまざまな役割をしてもらいました。


 捕まえたコウノトリは穴を開けた飼料の袋に入れ、首だけ出すようにしてテープで巻いて止め、暴れないようにしました。この状態で、個体識別のために装着しているカラーリングやナンバー・リング、マイクロチップ番号を確認しました。全羽捕獲して確認作業完了後、最後に翼の仮切りをおこないました。「翼の仮切り」とは、繁殖シーズン迎え、争いなどで飛んで網にぶつかって怪我をしないよう、片翼の羽毛の一部を切って飛びにくくすることです。一年たつと生え換わり、また飛べるようになります。

 すべての作業が無事に終わり、飼育係は「これで年を越せる……」と胸をなでおろしましたが、コウノトリたちは呆然としたようすで、あまりありがたくないクリスマスプレゼントだったようです。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 佐々木真己〕

(2016年02月05日)


ページトップへ